FilmMaker Ishikawa Shingo

「Hairs」「Food 2.0」「スティグマ-STIGMA-」「裸で汁を出すだけの簡単なお仕事です。」「ラジオスターの奇跡」「蘇りの恋」「カササギの食卓」「出発の時間」などの映画監督、石川真吾のブログです。

徹夜して書いたものを翌日見返すとこんな気分だよね

ひでえシナリオだ。

「イシカワくん。きみは、この紙切れをだれに向けて書いてるんだね?」
「紙切れと申しますと‥‥。ぼくが三日三晩徹夜して書いた、その脚本のことでございましょうか?」
「人生の三分の一は寝て過ごすものだからね。無理しちゃいけないよ才能もないのに。」
「は。それはお気遣いありがとうございます。で先ほどの質問ですが。これはですね主人公の年齢が15歳ということもあり、ですね。すべての現代の悩める15歳に向けて書いた啓蒙の書なのでございます。」
「すると、きみに啓蒙されたいようなガキがこの世には存在するというわけだ。」
「は‥‥それは‥‥きっと、いるものと思われます」
「きみは確かに立派な、締め切りを守らないライターだもんな。遅刻の多いグズな26歳にお説教されたいガキが、この世のどこかに存在する‥‥と。そう言いたいわけだ。」
「いえ‥‥あの。先ほどの発言を訂正させて頂いてよろしいでしょうか」
「ほう。きみは一度言ったことを、DELETEキーで消せるという常識で育ってきたのかね」
「は。育ちが悪いもので。それでですね、本当は、自分のために書きました」
「つまりきみはそれほど面白い人生を送っており、きみの人生は他人に見せうるべき自慢のショウであり、かつリーダーであるおれの指示を無視し、こんなすてきな落書きを納品して、あまつさえその対価を請求しようと、そういうことを考えたわけかね?」
「いえそんなめっそうもございません。ぼくなど平凡で退屈な人生です。」
「きみがつまらん人間だということは知っている」
「さすがの観察眼でございます」
「じゃあどうして紙資源の無駄をする?貴様のド汚い内面の告白なんか読めるか!自意識過剰のホモ野郎が!」
「は。しかしぼくはどちらかといえばお姉チャンが好きな方ですが。」
「貴様がどんな変態性欲の持ち主だろうと知ったことか!この会議室を押さえるだけで金がかかるんだぞ!あまつさえこれで納期が延びたらおれは部長にどんな言い訳をすればいいんだ?お前が新しいオナニーの開発法を考案していたからだと部長の前で超絶テクニックを披露してくれるのか?」
「は。ちょうど昨夜完成したばかりの新技があります。ご覧に入れましょう。」