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FilmMaker Ishikawa Shingo

「蘇りの恋」「カササギの食卓」「出発の時間」「あさごはん」などの映画監督、石川真吾のブログです。

手間をかければ安くてもうまくて幸せになれるはずなのに

松屋でめしを食うと「またつまらぬもので腹を満たしてしまった…」という気分になる。松屋ファンの皆さんごめんなさい。しかし不味いものは不味い。米も炊き方も酷い。俺は農家の孫で、姉は寿司屋の嫁、兄は嫁が米屋で、父と母が暮らす家では玄米から自家精米してご飯を炊いている。つまるところご飯一家なんじゃわしは。福井は水が旨い。福井の農協が開発した米があの「コシヒカリ」だ。俺は煙草も砂糖も絶っているから鼻も舌も鋭敏になっている。残念なご飯を食べると残念な気分になる。そう、わがまま言うのなら自分で米を炊けばいいのだ。ちょっとした手間も美味へのパスポートとなってくれる。低糖質ダイエット中だから米はまず食べないのだが、へんな時間に起きてしまってテレビをつけたらジャパネットの通販番組でやってた炊飯器の紹介映像に炊きたてのご飯の映像が写っていたので今日ばかりは米は解禁だと思い至ったのだ。そして駆け込んだ松屋荻窪店朝定食360円。ぐぐぐ…味が濃いばかりで低品質なおかずの数々、お新香は化学調味料バリバリの味で舌がぴりぴりする。味のない紙のような海苔、ベチャベチャに形のつぶれたご飯、ぬるくて味噌の香りのいっさいしないわかめと油揚げのみそ汁、不自然なほど緑色に光るカットネギと、残念な食感の納豆。これで360円は安い、のかも知れない。しかし安いことは快楽を保証しない。現代は手間さえかければローコストでうまいものをつくれる時代だ。俺は時間に負けた。面倒に負け、小雨降る中自転車を10分かけてとばし、360円でつまらぬ満腹と怒りを買ってしまったのだ。あああのとき、「自分でご飯を炊く」という選択を選んでいれば今頃はもっと幸せな気分で腹をさすっていたことだろう。悪いのはすべて30分前の自分だ。世界ではない。まして松屋は悪くない。松屋は不味いだけだ。重ねて松屋ファンの皆様と松屋フーズ様にはお詫び申し上げます。