FilmMaker Ishikawa Shingo

「Hairs」「Food 2.0」「スティグマ-STIGMA-」「裸で汁を出すだけの簡単なお仕事です。」「ラジオスターの奇跡」「蘇りの恋」「カササギの食卓」「出発の時間」などの映画監督、石川真吾のブログです。

『ハルをさがして』公開に寄せて

本日8月6日より、私が編集と宣伝デザインを担当させてもらった自主映画『ハルをさがして』が公開されます。下北沢トリウッドで1日3回上映です。下北沢トリウッドといえば、自主映画の公開に寛容な劇場のはしりではないでしょうか。10年前、私が監督した『カササギの食卓』という自主映画の公開イベントをやらせてもらったのも下北沢トリウッドでした。

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『ハルをさがして』は福島版『スタンド・バイ・ミー』を目指して作られました。登場人物は男4人ではなく、男3人と女1人にアレンジされています。ヒロインへの恋心が男子中学生3人たちを動かし旅に誘います。『スタンド・バイ・ミー』は死体を探す話でしたが、『ハルをさがして』で中学生たちが探すのは、2012年の福島県の帰還困難区域に残された犬の「ハル」です。ハルをさがすうちに中学生たちはさまざまな「震災と死」に出会い、成長していきます。
 
ヒロインを演じた佐藤菜月さんはほぼ映画初出演ながら、繊細な役を堂々と演じきっています。今後の活躍が期待される期待の新人です。とても可愛らしい女優さんです。私は撮影現場に行っておりませんが、演技の面でも見違えるほどの成長があったと聞いております。
 
脚本・監督は私と同世代の尾関玄、その同級生のプロデューサーが内藤諭、この2人が中心となったISHIOが製作しました。私は尾関監督と商業映画の現場で出会っており、プロデューサーの内藤さんとは尾関監督が前回監督した短編映画の現場で出会いました。公私ともに世話になっている友人たちであり、たいせつな仲間たちです。
 
撮影は2014年の夏に都内と福島県いわき市、小野町で行われました。9月より尾関監督の母の家に編集室を作り、編集作業が行われました。年内いっぱいまで編集作業は進められ、ピクチャーロックとなりました。
 
監督がテーマソングとして考えていたのが甲本ヒロトさんの未発表曲「呼んでくれ」でした。郷愁を誘うピアノリフ、シンプルで味わい深いロックンロール、映画の内容にピッタリな歌詞が、この映画の方向性を決定付けました。音楽の使用許可を得る前に、映像と音楽がピッタリとシンクロするように編集を固めました。事務所からの使用許可が出なければこの映画はまったく別のものになっていたことでしょう。
 
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2015年頭にダビングを経て完成。渋谷にて初号試写。コワモテなラインプロデューサーとして活躍する尾関監督のピュアな青春映画に共感と感動の声が集まりました。その後、映画のロケ地である福島県小野町での一般向けの上映、中学生向けの上映、いわきPITでの有料公開などを経て、本日8/6よりとうとう東京上映となりました。
 
忘れられない感想の声があります。
 
私は津波を経験したことがないけれど、津波が人の心を持っていくことが分かりました。○○ちゃん、どこにいったのかなあ。
 
福島県出身でもない尾関監督がなぜ、ドキュメンタリーではなくフィクションで震災後の福島を舞台に青春映画を作ったのか?津波原発事故でコナゴナになった世界をどう生き抜くのか?少年たちの「選択」をどうぞ劇場で体感してください。
 
 
 
キャスト
小柴大河
佐藤菜月
小泉凱
小沢仁志
才藤了介
井上珠里
齋藤あきら
武藤令子
川崎裕子
蛭田智道
牧純矢
桜あん
 
監督 脚本 尾関玄
プロデューサー 内藤諭
撮影 栗田東治郎
録音 小牧将人
編集石川真吾
主題歌 甲本ヒロト「呼んでくれ」
衣装Ka na ta
ヘアメイク 松本智菜美
スチール 河内純子
助監督 佐藤純
制作担当 今井尚道 
 
©2015 ISHIO  93分
 
 
下北沢トリウッド
2016年8月6日(土) 〜 8/26(金)
タイムテーブル 12:30 / 14:30 / 18:30
入場料金 一般: 1600円 大学 • 専門: 1300円
シニア: 1100円 高校以下 • 障害者:1000円
前売り券 1300円
火曜定休
 
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