2021年をまとめてみた
2021年のお笑い界はおじさんの年だった
おじさんたちの人間力に注目が集まっていた。
マツコ・デラックスは「いまは熱量のあるものしかウケない」と言っていた。まさに。錦鯉の50歳優勝には勇気をもらった。
オリンピックのこと
愚かな運動会をやっていたらしい。実に空虚で演出家不在の開会式を見てゾッとした。競技は見なかった。嘘ばかりの政治家たちには腹が立った。選手たちの無言も腹が立った。世界的災禍の中、国民の安全よりも自分たちが競技を優先すべきというのに、理のある説明をしてこなかった。オリンピックは世界の平和を作らなかった。分断を生んだだけだった。便器のような国立競技場が残された。
今年のう〜んな映画
- ラストナイト・イン・ソーホー
新規軸だったけどうまくハマってないな、と
- DUNE
う〜ん、眠かったなあ。話も中途半端だし
- 007 ノータイムトゥダイ
アナ・デ・アルマスちゃんが出てる前半までは100点。そのあとは・・・
- イカゲーム
ノれなかった。でもなぜヒットするかはわかる。ゲームの簡略化、しつこいほどの回想、キャラクターへの感傷。説明過多。『鬼滅の刃』にも通じる。キャラクターでエモーショナルに。多分、世界的潮流なんだろうね。
参加させてもらって今年公開した映画
- 空蝉の森
- めぐみへの誓い
- HOKUSAI
- 自宅警備員と家事妖精
STIGMAゆうばり上映
ゆうばり映画祭は最も好きな映画祭。オンライン上映だったのはとにかく残念。またかけてもらえるよう頑張ります。
Food 2.0
成海花音という強烈な存在と映画を作れたこと。念願のホラー映画を作れたことに感謝。
Hairs
ジェンダーを掻き乱す抜群の存在感、田中祐理子さん。反逆児、賀々贒三さんの反骨の会話劇シナリオ。この2つが合わさって、新機軸な、そして大好きな作品ができました。
RIP
今週のお題「買ってよかった2021」
デスク周りの環境向上が著しかった。
M1すごい。マジで凄い。
↓ここからは今年回数が増えたキャンプ用品。
シンプルイズベストな構造。木の質感良し。こんな打ち込みやすいペグってあるの!?と衝撃だった。ダンボー仕様。かわいくて便利。キャンプでも家でもホットサンドばかり作っているホットサンドおじさんになった。ヘアーくらい好きにさせてよ〜”Hairs“上映に寄せて①
校則が決める男らしさ女らしさ!? 髪型くらい好きにさせてよ
ストーリー:女性体育教師が、校則違反者のヘアゴムをシェアハウスに持ち帰ったことで、ジェンダーやルールについての議論が巻き起こり、同性パートナーとともに、自分を曲げずに生きていくことを決意する。
出演:田中祐理子 久田松真耶 アライジン 牛丸亮 横須賀一巧
脚本:賀々贒三 石川真吾 撮影監督:PHOTOGRAPHER HAL 録音:飯島花衣
音楽:原 夕輝 制作:Kazuki 製作:Stone River 監督:石川真吾
This film was made for 48 Hour Film Project. www.48hourfilm.com
Drama/8min/HD/Color
©︎2021 Stone River
【プレミア上映会】
12月4日(土)16:30 開場 17:00 上映
内容:今回の参加12チームの作品を上映。監督や役者に登壇していただきます。
チケット代 1,000円
会場:レソラホール
福岡市中央区天神2丁目5-55 レソラ天神6F
https://goo.gl/maps/5jqhwA7z2YtHnnjj6
48時間映画祭福岡大会始まる
今年から48時間映画祭の「福岡大会」というものが始まった。主催しているのは優勝常連でカンヌにも行っているW7というチームだ。2018年のFilmapaoozaでご一緒して仲良しなチームだ。実は前々から福岡大会をやるのというのは聞いていて、石川さん是非参加してくださいよ、なんて言われていたのだ。
撮り続けるのが勝利。1年に1本作る。
福岡大会は仕事の都合もあり、参加するかどうか迷っていた。そもそも5月のFood 2.0で予算をかけすぎた。大阪大会も10月にあったのだが、金欠と体調が良くなくてエントリーを断念した。
1年に1本、短編でもいいから映画を撮ろう。とジタバタ動き始めて6年ほど経った。その思いに48時間映画祭は絶好のチャンスを与えてくれた。今年はFood 2.0という、自分でもけっこう気に入ってる作品が作れた。かつそれなりに体力もお金もかけてしまった。ので、もう一度48時間映画祭をやるのはあまり気が進まなかった。
48時間映画祭はカンヌを目指す
地区の大会で優勝し、世界大会でベスト10に残ればカンヌ映画祭で上映される。カンヌに行くまでは細々とつくり続けようと思っていた。カンヌに行ったらスパッとやめる。
11/10
48hfpの森プロデューサーから電話。「エントリーがまだ10チームくらいだから狙い目ですよ。エントリーしてみませんか?」と。
この電話は効いた。ムニャムニャ迷っていた背中を押された。
11/11
登録料を振り込んだ。
カメラマン探し
48時間映画祭を過去2本一緒にやっているPHOTOGRAPHER HALさんにお願いした。快諾してくれた。ありがたい。
出演俳優探し
さて……誰に出てもらおうか。この人と映画を作りたい!という第一候補の方はスケジュールNGだった。主演映画の公開日と重なっていたのでそりゃそうだ。
とある映画のオーディションで出会って、いつかまたご一緒したいな〜という女優さんが田中祐理子さんだった。
https://miss-id.jp/nominee/17703
Food 2.0の成海花音さんと同様、ミスiDを取っている。
男性服を好むファッション。中性的な雰囲気、声、芝居、プロフィール画像のセンス。すべて型破りだった。
撮影以来久しぶりにLINEしたら48hfpのコンセプトを気に入っていただき、Food 2.0も気に入ってくださったよう。出演OK🙆♂️
2018年の『ラジオスターの奇跡』以来、すべての作品に出てもらっている横須賀一巧さんにもお声がけをした。彼がいないと始まらない。
Food 2.0で仲良しになったアライジンさんも参戦。
別作品の現場で再会した久田松真耶さん。新宿の「Bar Dude」のオーナーでもある。飲みの席ではさんざ交流があるが、監督と女優という立場で絡んだことはないので、興味があってお声がけした。パートナーの牛丸亮氏とともに参加決定。
録音はFood 2.0に引き続き飯島花衣ちゃん。
現場手伝い(出演も役があれば)Kazukiさん。
メンツは揃った。
そして迎えたキックオフ
わがチームが引いたのは「ウエスタン」と「バディフィルム」!!
出たよクソジャンル。ウエスタン!?もっかいくじ引きさせろ!
お題もムズい!
シナリオ会議
出席者は牛丸亮、田中祐里子、横須賀一巧。
つづく!
校則が決める男らしさ女らしさ!? 髪型くらい好きにさせてよ
女性体育教師が、校則違反者のヘアゴムをシェアハウスに持ち帰ったことで、ジェンダーやルールについての議論が巻き起こり、同性パートナーとともに、自分を曲げずに生きていくことを決意する。
出演
田中祐理子 久田松真耶 アライジン 牛丸亮 横須賀一巧
脚本:賀々贒三 石川真吾
撮影監督:PHOTOGRAPHER HAL
録音:飯島花衣
音楽:原 夕輝
制作:Kazuki
製作:Stone River
監督:石川真吾
This film was made for 48 Hour Film Project. www.48hourfilm.com
Drama/8min/HD/Color
©︎2021 Stone River
【プレミア上映会】
12月4日(土)
16:30 開場 17:00 上映
内容:今回の参加12チームの作品を上映
監督や役者に登壇していただきます。
チケット代 1,000円
会場 レソラホール
福岡市中央区天神2丁目5-55 レソラ天神6F
MAP
https://goo.gl/maps/5jqhwA7z2YtHnnjj6
不安と眠気の『Food 2.0』48時間メイキングPart9 撮影編①
<撮影用シナリオが上がったのは撮影日の朝8半!>
まったく寝てない状態で迎えた撮影をどう乗り切るか・・・!
5/30(土)
10:00
中野の我が家から撮影スタート。
いきなり、シナリオにない「父親の部屋」シーンを撮る。撮影の江口の提案だったが、彼との仕事で、予定にないカットを撮ることはしょっしゅうだったので気にしない。というか大歓迎。女子高生の娘が、失踪した父親の部屋で、研究所の資料を発見するシーン。編集時はこのカットがあったおかげで助かった。何というか、「いい感じの導入」になったのだ。
10:30
冷凍庫に入れてあるカレーを取り出すシーン。江口の買ったRED社のKOMODOというカメラはとっても小さいので冷凍庫にカメラを入れることができてしまう。
冷凍庫に今はいない人間の作った食べ物が入っているという設定の元ネタは、探偵!ナイトスクープの「亡き母が作った5年前の角煮を食べたい」である。
探偵ナイトスクープ「亡き母が作った5年前の角煮を食べたい」 | がらくたクリップ
これがまあ泣けるんだ・・・。
www.amazon.co.jp
伊丹十三の『タンポポ』にも「最後のチャーハン」という大泣きのエピソードがある。
www.youtube.com
他には、アンガールズ田中の母のお弁当のエピソードがとにかく涙を誘う。
www.youtube.com
ことほどさように「親」と「食事」というのは強い感情となって記憶に残る。ホラーはその感情を「反転」するだけで悪夢にすることができる。たちが悪いね・・・。
「カレー」なのも理由がある。オマージュだ。「亜無亜危異」藤沼伸一監督の『Goldfish』の主人公の娘役を成海花音ちゃんが演じていて、私は助監督だった。その主人公がいつも食べているのがカレーだったので、自然とその設定のオマージュになった。
ホラーなので反転させているけどね・・・
11:00
家のリビングでのラストシーンを撮る。

現場でちょっと難航したのが青い涙。美術の定塚さんが青の顔料でスポイト垂らしてやってくれたが、本来俳優の肌に触れる処理はメイク部の役割だ。メイク部ってやっぱり必要ですね。
12:30
家のシーンを撮り終わったので、現場移動。小石川の病院スタジオに移動する。朝9時に電話して、空いてたんで貸してくれた。別の撮影で使ったことがあるスタジオで、スタジオの配置図も頭に入っている。このスタジオを想定してシナリオを書いた。録音の飯島ちゃんと、成海ちゃんの3人でタクシーに乗ってスタジオへ向かう。車内で、撮影順を考える。効率よくやらないと、終わらない。不安だ……。
続く。
48時間映画祭バージョン(8分)を特別公開。下のVimeoのリンクをクリック!
FOOD20 by STONERIVER - TokyoJP-48HFP-2021 on Vimeo



ストーリー/行方不明になった父を探す女子高生。ようやくたどり着いた研究所で食べさせられたのは、世界を救うおにぎり。
出演/成海花音 横須賀一巧 免出知之 アライジン 柳生はる奈 美南宏樹 SHINYA 児玉アメリア彩
監督/石川真吾 脚本/宮本晴樹・石川真吾 撮影監督/ 江口裕祐 撮影助手/佐藤 遊・船場 幸平 録音/飯島花衣
美術/定塚由里香 編集/石川真吾 音楽/原 夕輝 8分/ホラー ©2021 STONE RIVER
This film was made for the 48 Hour Film Project.
www.48hourfilm.com
チーム名【STONE RIVER】
作品名『Food 2.0』
#48時間映画祭
#48HFP
#Food2・0
48hourfilm.com/tokyo/
不安と眠気の『Food 2.0』48時間メイキングPart8 シナリオづくり編③
<前回の記事を書いてから150日経ってしまった>
そのうちにFood 2.0の完全版(13分版)を作ったり、MacMini(M1)買ったり、映画の現場2本こなしたり、福岡48時間映画祭に参加したりしていた。
5/29(金)
22:00
シナリオは初稿を宮本晴樹さんに書いてもらうことにして、解散。私は美術の定塚さんと成海さんとでドン・キホーテに買い出しに行った。
24:00
帰宅。翌日の準備。
25:30
寝れないやないか。
27:00
記憶がない。けどちゃんと寝れた感じはない。
26:13
というわけで宮本さんから初稿が来る。
宮本さんならではの手腕で見事にまとめてくださっていた。
26:25
しかし、問題があった。ぜんぜん怖くないのだ。このホンは、ホラーというよりはミステリーであった。
めちゃ深夜なんだけど、直しの注文を送る。


振り返ってみると、初稿を読んでからの方が、いろんなアイデアが湧いてきている。アイデアを抑えきれてないくらい(笑)たぶん寝てないからだな。
28:14 (6:14)
2稿が来た。おお、ちゃんと怖い。家→研究所⇨家 という導入がよりホラー映画っぽさを醸し出す。青い食べ物を食べたせいで、もう普通の食べ物が食べれなくなるというのも怖い。後味も悪い。
あとは絶妙な調整かな〜というところで、私がシナリオに手を入れることに。
コリコリ書く。
宮本さんの書いたニュアンスは残しつつ、自分なりのセリフに書き換えたり、ホラーっぽくなるように調整していく。
29:00
ある程度書いたところで”FOOD 2.0”をタイトルにしようかと思った。
もちろんWeb 2.0とかのバズワードが念頭にあった。が、師匠の傑作『エアー 2.0』も脳裏にあった。
30:23(8:23)
シナリオ3稿ができた。これが撮影用シナリオ。
さて、撮ってくゾ。寝てないけどな・・・続く。
48時間映画祭バージョン(8分)を特別公開。下のVimeoのリンクをクリック!
FOOD20 by STONERIVER - TokyoJP-48HFP-2021 on Vimeo



ストーリー/行方不明になった父を探す女子高生。ようやくたどり着いた研究所で食べさせられたのは、世界を救うおにぎり。
出演/成海花音 横須賀一巧 免出知之 アライジン 柳生はる奈 美南宏樹 SHINYA 児玉アメリア彩
監督/石川真吾 脚本/宮本晴樹・石川真吾 撮影監督/ 江口裕祐 撮影助手/佐藤 遊・船場 幸平 録音/飯島花衣
美術/定塚由里香 編集/石川真吾 音楽/原 夕輝 8分/ホラー ©2021 STONE RIVER
This film was made for the 48 Hour Film Project.
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チーム名【STONE RIVER】
作品名『Food 2.0』
#48時間映画祭
#48HFP
#Food2・0
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不安と眠気の『Food 2.0』48時間メイキングPart7 シナリオづくり編②
<前回までのあらすじ>
指を怪我した女優にピザを食わせたら機嫌が直った
21:00
みんなでピザをつつき、コーラをがぶ飲みする。パーティだね。
成海花音さんに笑顔が戻った。やはり食べ物は偉大である。
21:30
腹が膨れたんで、いよいよまとめに入る。ファシリテイトするよ。
21:40
ともあれ、主人公である。主人公を決めないと物語は動かない。映画とは主人公の旅なのである。短編であろうと長編であろうと一緒だ。主人公の旅とその「変化」に観客は感情を揺さぶられる。
物語とは「行って帰る」こと
どこに「行って帰る」のかと言うと、日常から非日常へ。そして日常に帰還するのだ。
日常→非日常→日常(これを行きて帰りし物語と呼ぶ)
ホラー映画はこの物語の構造を逆手に取って、観客に恐怖を与える。
ホラーは「行ったまま帰ってこない」のだ。
『悪魔のいけにえ』のラスト。異常な一家の惨劇から逃げた主人公サリーは、レザーフェイスに追いかけられ、通りがかった車の荷台に乗り込み、脱出に成功する。かろうじて生き延びたサリーは狂ったように笑う……。
中学生のときにはじめて観たこのラストには衝撃を受けた。主人公は助かった。が、狂ってしまった。
これが「行ったまま帰ってこない物語」である。
「あっち」に行っちゃったままなのだ。
ハッピーエンドじゃなきゃヤダ〜なんて抜かす軟弱な観客に強烈なビンタをかましてくれるのが「あっちに行ったまま帰ってこないホラー映画」である。
当然、後味の悪い鑑賞体験になる。
あなたの一生にへばりつく悪夢になるかもしれない。
あなたの人生を不可逆的に変えてしまうかもしれない。
河合隼雄は恐怖をこう定義している。
「人間は自分の人生観、世界観やシステムを持ちながら生きてるが、それをどこかで揺り動かすもの」
これはそのままホラー映画の定義だし、「芸術」そのものの定義だと思う。
観客を揺り動かすもの。劇場に入る前と後では世界の見え方が一変してしまうような「劇薬」。
そういうものをわたしはつくりたいんですよ。
観客の日常に裂け目を入れるようなものを。
そして主人公は「変化」する。
主人公は日常→非日常→日常の旅で「変化」する
エンタメ映画では「成長」する。『ドラえもん』映画ではのび太の成長が必ず描かれる。サスペンス映画では主人公の「堕落」が描かれることもある。(この変化のことをハリウッドのシナリオ用語では「キャラクター・アーク」と呼ぶ)
- 「成長しない主人公」 ex. ウディ・アレンの映画
- 「死んでしまう主人公」もいる(偽りの主人公)。ex.『サイコ』
- 「とある共同体に洗脳されちゃって帰ってこない」主人公というのもいる。ex.アリ・アスター『ヘレディタリー』『ミッドサマー』
つまり、とにもかくにも、まずは主人公を決めないといけないのです。ホラー映画といえら、若い女の子で女子高生がなぜか「定番」である。じゃあ女子高生主人公にしよう。
青い食べ物を食べる食品モニターの組織。じゃあ、「潜入」する物語にしよう。「ヒッチコック映画の登場人物はヒッチコック映画を見たことがない」というテーゼがある。「危険そうなところに向かっていってしまう」のがホラー映画なのだ。『サイコ』も『悪魔のいけにえ』も、あんなヤバそうなところにどーして行くの? ってとこに行くのがいいんだ。『ジョーズ』の主人公の所長なんて泳げないのに海に行ってサメと対決するハメになるだ。そこにこそ映画の魔法がある。


じゃあ、女子高生が父親を探して組織に潜入する物語にしよう。そこでは青い食べ物が出される。入院患者が4人いて・・・。じゃあ、病院側の悪役は、『カッコーの巣の上で』のラチェッド看護婦長よろしく、体制の監視者にしよう。トランプは識別に使おう。主人公が青くなった後、「今さらなんなのよ」発動だ。

同時にキャスティングも進められていく。キャスト・スタッフで集まってるんだからそりゃもうその場でサクサクと決めていく。この場に至るまでに面白いアイデアを発言していた俳優にはなるべくいい役が振られる。そういう意味では平等、かもしれない。女子高生を主人公にしようとした時点で成海花音さんが主役というのは確定とも言えるのだが。俳優たちにとってこのシナリオ会議は、共演者・監督とのコミュニケーションの場であり、モチベーションアップの場であり、役作りや、作品のムードや監督の世界観を把握する場なのです(そうなっていればいいな)。

プロットを固めつつ、キャストも固める。はっ、父親役がいない・・・。「石川さんがやればいいんじゃないですか?」

わたしが父親役ですと? 「馬鹿を言うんじゃないよ・・・」 しかし役者は足りない。時間もない。そもそもシナリオはまだ何にもできてない。
続く。



6/25に授賞式があり、我々のチームは「主演女優賞」「観客賞」「小道具賞」をいただくことができました!!これもチームの皆のおかげです。
ストーリー/行方不明になった父を探す女子高生。ようやくたどり着いた研究所で食べさせられたのは、世界を救うおにぎり。
出演/成海花音 横須賀一巧 免出知之 アライジン 柳生はる奈 美南宏樹 SHINYA 児玉アメリア彩
監督/石川真吾 脚本/宮本晴樹・石川真吾 撮影監督/ 江口裕祐 撮影助手/佐藤 遊・船場 幸平 録音/飯島花衣
美術/定塚由里香 編集/石川真吾 音楽/原 夕輝 8分/ホラー ©2021 STONE RIVER
This film was made for the 48 Hour Film Project.
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チーム名【STONE RIVER】
作品名『Food 2.0』
#48時間映画祭
#48HFP
#Food2・0
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不安と眠気の『Food 2.0』48時間メイキングPart6 シナリオづくり編①
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part1 仲間集め編 - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part2 仲間集め編② - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part3 仲間集め編・完 - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の『Food 2.0』48時間メイキングPart4 そもそも48時間映画祭とは何か? - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の『Food 2.0』48時間メイキングPart5 お題とジャンル発表 - FilmMaker Ishikawa Shingo
お題が発表され、われわれはスタッフキャスト合同でのシナリオ会議にはいった。このやりかたでのシナリオ開発は3度目ということもあり、作業は順調に……進まなかった。
5/29(金)
19:15
キックオフ会場から会議室に戻る最中こんなLINEが。成海花音さんが指を怪我したので冷やすものを買ってきてくれ、と。
な、なにごと!?
19:30
会議室に入ると、成海花音ちゃんが痛がっている。怪我はまあ、、、大したことない。ほっ。冷やして患部を圧迫すればそのうち血は止まるだろう。
しかし相当痛かったようで、テンションはだだ下がりである。さっき会った時とは別人だ。
19:40
出席者は脚本・宮本、美術・定塚、成海、児玉、アライ、横須賀、免出、わたしの8人。
いい具合の人数だ。合議制でシナリオを作る際、大事な点が2つある。
①「冷める発言をするやつ」を入れないこと
②ファシリテイトが肝心
①はブレインストーミングの原則、「否定しない」と近い。「どうすんの? 時間ないよ」とか煽るだけ煽ってアイデアは言わない人間は、こういうやり方に向いてないのでお呼びしてはいけない。
そもそも前回は参加者が14人もいたので収集がつかなかった。今回の8人っていうのはとてもよい人数だと思う(ブレインストーミングは10人以下が望ましいとされている)。
②ファシリテイト
ファシリテーターとは、発言を促し、意見を整理、集約してゴールに導く進行役、だそうだ。そう、つまり、まとめ役がしっかりまとめないと、会議はただの雑談と化す。それはそれで楽しいのだが、我々はあと8時間くらいでシナリオをあげないといけないのだ。
19:45
俳優部の自己紹介も兼ねて「やってみたい役」を聞いていった。「う〜ん、何でしょうね〜」みたいな回答が多かった。
そう、この質問は、役者としてのスタンスが鮮烈に出る。「与えられた役を一生懸命やるだけです」みたいなスタンスの人もいらっしゃる。ゆえに、人によってはあまり盛り上がらなかったりする質問だ。初参加のひとだらけ(そもそも初対面のひともいた)なので、自分をそこまで出さず、「このクサレ監督はおれをどう料理してくれるんだァ!?」みたいな目でわたしを見てくる。料理人と食材の真剣勝負である。表面的にはにこやかであったが、心の中では巌流島であった。
20:00
ひととおり自己紹介タイムが終わり、なんとなく人柄や、やってきた役柄、やらせたら面白い役柄などが見えてきた。脚本家が俳優と会って会話しておけるこのシステムのいいところは、「当て書き」が比較的容易であることだ。
次のステップとして、「お題」をホワイトボードに書き出していった。
ジャンル:ホラー・食べ物
キャラクター:八木丘真二郎・聡子
職業/属性:治験モニター
小道具:トランプ
台詞:「今さらなんだよ。」
治験と激変した世界
まず、治験に参加したことがある人間がうちのチームではわたしだけだった。一般的には人体実験と治験の違いや、二重盲検法を知らなくて当然だ。しかし、コロナで世界は一変した。治験、ワクチン、偽薬なんて言葉がニュースに踊る。「濃厚接触」なんて言葉は、コロナ以前はアダルトビデオのキャッチコピーでしか見なかった。
世界はたったひとつのウイルスで激変した。対応できる政治と対応できない政治で明暗が分かれた。そして常にその変化に取り残される個人がいる。映画というものは「世界から孤立していくその個人」に常に寄り添うべきだと思っている(前作『スティグマ』はこのような意識で作られております。ぜひご覧を)。
www.youtube.com
治験の間違ったイメージ
今回のお題を聞いて、治験の間違ったイメージを描く作品はいっぱい出てくるだろうなあ、と思った。ロボトミーとかやっていた時代の精神科病棟とか、差別的な閉鎖病棟のイメージ。そういうのをゴッチャにした、時代錯誤な作品。こういう医療系は、きちんと取材しないとたいへん残念なものが出来上がる可能性が高い(大手の商業映画作でもこういった"間違った"描写は幅を利かせている。気に食わない)。ま、48hfpで取材しろ、ってのはあまりに無茶な話だ。せいぜいネットでちょろっと調べるくらいが関の山だろう。
ただ、「治験会場をそのまま使う」というベタな選択だけはやめよう。そう皆と共有した。
小道具、トランプ
これは使いやすそうだが、被りがありそうなアイテムだった。治験会場でトランプで賭けをする、みたいなストーリーはいくらでもありそうだ。
とくに危険だと思うのは「ジョーカー」だ。なんらかの黒幕、トリックスター、転換、逆転に使われるだろう。そこまでステレオタイプなもので被ってしまったら恥ずかしい。
とにかくチームには「裏をかきたい」と伝えた。
台詞「今さらなんだよ。」
この台詞は1幕目で使わないほうがいい。セットアップの情報量の中に埋もれてしまうからだ。ギャグのフリにしてしまうと、さらに埋もれる。2幕目のミッドポイントに使うのはアリだろう。3幕目、できればクライマックスで使うとより効果的になる。そしてそのセリフが発する意味が複数あるほうが味わい深い。楽なのはラストの台詞にすること。否が応でも台詞が立つ。しかし、ラストにしてしまうのは被りが多そう。
20:05
アイデア出し。
20:10
食べ物ホラーということで思い出したのが『ソイレント・グリーン』。あれはSFだが、後半のソイレント工場の描写はホラーそのものだ。
ソイレント・グリーンの原材料は……
未見の方には申し訳ないが思いっきりネタバレすると、未来の食糧不足のアメリカで、人々が一律に食べている「ソイレント・グリーン」というスティック状の食べ物の謎をチャールトン・ヘストンが追う話だ。その正体は人肉でした……!というのがオチである。「ソイレント・グリーン」の見てくれがグロい。アルミの板のような、じつにまずそうなシロモノなのだ。そして「完全栄養食」なんだそうだ。
「完全栄養食」なる食べ物は、いまけっこう市販されている。BASEとかHuelとかCOMPとか、「ソイレント」なる名前を冠した完全栄養食もあるのだそうだ。あまり食べたくはない。
メシマズ・ディストピアSF『スノーピアサー』
似たようなディストピアSFにポン・ジュノの『スノーピアサー』がある。列車の中以外の人類が死滅した、凍った地球が舞台で、列車のなかの「下層民」が食べさせられているじつにまずそうな食い物「プロテイン・ブロック」。これの原料が……列車内のゴキブリやコオロギなのである。オエッ。書いてて気持ち悪くなってきた。ひっでえことに、「上級階級」はステーキとか食ってやがるんだ!
そして、「食べ物ホラー」で思いつく意外なタイトルが『2001年宇宙の旅』である。意外にもあの映画、「食べる」描写がいっぱいあって、しかもそのすべてがまずそうなのだ!
これについて押井守さんがパンフに原稿を書いていて、けっこう影響を受けた。アニメキャラクターに、実在感を持たせるために意図的にものをよく食べさせるんだそうだ。
まずそうなものをまずそうに食ってる描写はそれだけで怖い。これは、今回の作品の核になりそうだった。
逆に、「うまそうに食っているけど怖い」というのもある。『悪魔のいけにえ』とか、『ソドムの市』とか。
食べ物ホラーで究極なのは『ゾンビ』ものだろう。なんせ人間を「未調理で」食ってるのだ。
問答無用に怖い。
火通さないとお腹壊すよ、なんて声をかける暇もないくらい怖い。
ロメロのゾンビ三部作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』『ゾンビ』『死霊のえじき』では、ゾンビがなぜ人間を食うかは謎であった。
わたしが偏愛する『バタリアン』ではその理由が明かされる。「死んでいる状態」は「痛い」のだそうだ。ゾンビ状態は痛くて痛くてたまらないのだが、「人間の脳を食う」と「痛みが和らぐ」ので「人間を食う」のだそうだ。この革新的な設定のおかげで、愛するがゆえに食べたくなるという後半の陰惨な展開に理論的な説得力が伴う。
『バタリアン』の監督・シナリオライターのダン・オバノンが書いた『エイリアン』は、閉鎖空間で食べられる恐怖に覆われた傑作であった。エイリアンは純粋で完璧な生き物だ。同情も恐怖心もない。ただ捕食するだけ。人類はエイリアンのエサなのだ。まさに「宇宙ではあなたの悲鳴は誰にも聞こえない」のだ。
「食べ物ホラー」というだけで様々なB級映画史が頭を駆け巡る。食べることは生物の根本的なところにあるからか、恐怖の対象にもなりやすい。
では、食べること自体が恐怖の対象になりそうなもので、かつ手間の少ないものはなにか。
美術の定塚さんが「青い食べ物ってまずそうですよね」などとアイデアをくれた。
成海花音「いまのJKに流行ってるんですよ青いの」「美味しいですよ」

さっそくググってみると、青い。不味そう。こんなものを喜んで食べるいまどきのJKはもはやわたしとは別種の人間なのかもしれない。この世代間ギャップ、人種ギャップも重要なヒントになった。
いいアイデアが出てきた、気がする。しかし、まだストーリーとして練り込むにはまだまだだ。練って、トッピングしなければならない。とりあえず、みんなのご機嫌を取るために宅配ピザを注文した。もちろん、コーラも付けた。
続く。
ストーリー/行方不明になった父を探す女子高生。ようやくたどり着いた研究所で食べさせられたのは、世界を救うおにぎり。
出演/成海花音 横須賀一巧 免出知之 アライジン 柳生はる奈 美南宏樹 SHINYA 児玉アメリア彩
監督/石川真吾 脚本/宮本晴樹・石川真吾 撮影監督/ 江口裕祐 撮影助手/佐藤 遊・船場 幸平 録音/飯島花衣
美術/定塚由里香 編集/石川真吾 音楽/原 夕輝 8分/ホラー ©2021 STONE RIVER
This film was made for the 48 Hour Film Project.
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チーム名【STONE RIVER】
作品名『Food 2.0』
#48時間映画祭
#48HFP
#Food2・0
48hourfilm.com/tokyo/
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part1 仲間集め編 - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part2 仲間集め編② - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part3 仲間集め編・完 - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の『Food 2.0』48時間メイキングPart4 そもそも48時間映画祭とは何か? - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の『Food 2.0』48時間メイキングPart5 お題とジャンル発表 - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の『Food 2.0』48時間メイキングPart5 お題とジャンル発表
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不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part1 仲間集め編 - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part2 仲間集め編② - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part3 仲間集め編・完 - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の『Food 2.0』48時間メイキングPart4 そもそも48時間映画祭とは何か? - FilmMaker Ishikawa Shingo
いよいよ48時間での映画づくりがはじまる。ここから書くことはすべて事実である。
5/28(金)
14:00
起きる。どうせ寝れないことになるだろうとは思っていたので、たっぷり、寝た。
14:15
最強のスタッフ・キャストが集まったが、わたしがやりきれるかどうか分からない。不安だ。布団で震える。
14:40
家の写真を撮ってグループLINEに送る。ロケハン写真だ。うちが舞台になるかもしれないからね。(毎回使ってるな……。)
15:00
シャワーに入る。次、シャワーに入れるのはいつになるのだろう。
16:10
脚本の宮本晴樹さんとふたりきりで会う。
48の対策会という名目だが、雑談で終わる。
17:00
予約していた会議室に行く。気をきかせて全員分の飲み物を買って行ったら遅刻する。
17:10
会議室に集まってもらったのは、美術・定塚由里香、免出知之 、アライジン、児玉アメリア彩、宮本晴樹、横須賀一巧、成海花音(敬称略)。こ、濃ゆいメンツだ……。免出、アライは初対面。いいやつだった。
17:20
わがチームStone Riverが48時間映画祭をやる社会的意義を蕩々と語ろうと思ったが、雑談で終わる。
17:45
わたし1人だけが抜けて麹町の東京ビジュアルアーツへ。18時からキックオフイベントがはじまるのだ。
17:50
会場前にいたのは「境界カメラ」チームの、井川耕太郎監督とポリスくん!ポリスくんは前回の『裸汁』でわれわれのスタッフだった男だ。背信行為許すまじ。脳天を叩き割った。井川監督は先輩だが、こんな強力なライバルを野放しにしておいていいわけがない。映画監督の命である喉を切り裂き、ついでにマウスも握れないように右手の腱を切っておいた。よし。
17:55
緊張していたので、自動販売機でコーラとポテトチップスを買った。ストレスには糖質だね!
18:00
キックオフ会場に入る。なんか……暗い。会話がない。そもそも人数が少ない。運営スタッフは知った人が何人かいるが、参加チーム側に知った人がいない。大丈夫か、今年。
18:05
今年は新型コロナウイルス対策のせいでキックオフイベントは代表者1名のみ入室だ。そのせいで、盛り上がりに欠けるのだろう。前回(2019)まで、わたしもよそのチームも、仲間を10人くらい引き連れて、ゲハゲハ笑いながら、なんなら酒を飲みながらゴキゲンにパーティのスタートを楽しんでいたものだ。人が多いとそれだけアサシンの仕事もやりやすく、知った役者やフィルムメーカーを血祭りにあげていたものだが、今年はやりづらい。ちっ。
18:10
いちばん奥の席に座る。隣に座ってきたイケメンの優男が声をかけてきた。お、お、お、お前は鴻森くんじゃないか!2018年の48時間映画祭でわれわれのチームの助監督をやってくれた男だ。またしても裏切り者が!憎っくきCNSSじゃなくcnssという名前でエントリーしたようだ。「正々堂々と作品で勝負しましょう」とかなんとか言ってきたので、毒針を刺しておいた。キックオフイベントがちょうど終わる頃に効いてくるはずだ。くたばれ!
18:15
キックオフイベントはじまる。森プロデューサーの挨拶。今年のエントリーはわずか29チーム。前回は49チームだった。エントリーが少ないということはチャンスなんだよ!と鼓舞された。
このキックオフイベントはシナリオ会議しているチームも配信映像で見ているはず。未来だねえ。
18:20
ジャンルくじ、始まる。
cnssチームは「スーパーヒーロー」と「ミュージカル」を引いた。うへへ、ざまあみろ。ハズレだ。鴻森君はミュージカルを「待ってました」とか強がりを言ってた。失敗することを祈る。
18:30
うちのチームのジャンルくじを引く。「何が出ても出たとこ勝負」とか余裕ブッこいていたが心の中では楽なジャンルこい、と祈っていた。
「ホラー」!!
と
「食べ物」!!
実はこの時、「あ、いける」と思っていた。なぜならホラー×食べ物っていうのは2作作ったことがあるからだ。鉄クズを食べる女子高生を描いた『カササギの食卓』と、相手の嫌いな物を食べるビデオテープを送る女を描いた『般若のフレーム』という映画だ。もし興味あればご覧ください。
【精神異常ドラマ】カササギの食卓【異食症】 - YouTube
【短編ホラー映画】般若のフレーム - YouTube
成功しているかはともかく、「挑戦したことのあったジャンル」というのはかなり安心材料だ。それに、最近はあまり追っかけていなかったが、ホラー映画は大好物だ。
18:40
「境界カメラ」チームのリーダー、有馬顕氏のくじ引きだ。有馬さんはわたしのもうひとりの映画の師匠だ。といっても、いまは映画監督は事実上引退して、社長兼プロデューサーとして、飲食店や映像制作、配信を通してパーティを仕掛けている。
どんなクソみたいな人生でも、「その人に出会わなければ今の自分はない」と思える人は必ずいる。わたしにとってはそれは間違いなく有馬さんだ。映画作りだけでなく、人との付き合い方、酒の飲み方、パーティのやり方、中島らもさん、レゲエ音楽、人生観、友だちとの別れ方、世界は美しいんだぜ、って照れずに言うこと。ありとあらゆることを学んだ。
かつ、いっぱい仕事をくれる。
しかし今年に入って、まったく仕事を依頼してくれない。こちらはいつだって仕事を待っているのだ。その上、48時間映画祭ではライバルとして立ちはだかった。畜生。親を殺すような気分で有馬さんの目を潰しておいた。今までありがとうございました。
前回、このコンペでは失敗しにきた、と書いたが、スマン、ありゃウソだった。
やるからには勝つ。
「境界カメラ」チームのくじ引きは「アクション/アドベンチャー」か「リベンジ」だ。作ったことないらしい。良し良し。
「境界カメラ」はニコニコ動画で毎週金曜日に配信している番組で、株式会社エル・エーまわりのクリエイターやオカルト系のくせのある人たちが集っている。時々ショートムービーを作ったりもしていて、題材は当然、ホラーだ。
ch.nicovideo.jp
今回、彼らが得意とするところのホラーをわたしのチームがもらうことになった。こ、これは……負けられねえ。
18:45
お題発表。
職業「治験モニター」ですって。あれはボランティアであり、お金はもらえるけど、謝礼であって報酬ではない。だから治験モニターというのは職業ではないのだが。まあ、職業/属性だから。
職業/属性にストーリーが引っ張られることは多い。が、今回は強烈だと思った。2018年は「ラジオパーソナリティ」、2019年は「派遣社員」だった。「治験モニター」が要請するストーリーはすぐ見えた。どう裏をかくかだと思った。
わたしは治験についてはちょっと詳しい。というか一時期、結構な頻度でやっていた。詳しさが有利になることも、足を引っ張ることもあるなと思った。フィクションに飛躍させるのに事実に縛られる可能性もある。前回、「汁男優の派遣会社」なんてのは誰もやったことがないからこそバカバカしい発想が生まれた。
19:00
48時間がスタート。一瞬のように長く、永遠のように短い2days。この時はこんなに眠れないとは思いもしなかった……
続く。
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ストーリー/行方不明になった父を探す女子高生。ようやくたどり着いた研究所で食べさせられたのは、世界を救うおにぎり。
出演/成海花音 横須賀一巧 免出知之 アライジン 柳生はる奈 美南宏樹 SHINYA 児玉アメリア彩
監督/石川真吾 脚本/宮本晴樹・石川真吾 撮影監督/ 江口裕祐 撮影助手/佐藤 遊・船場 幸平 録音/飯島花衣
美術/定塚由里香 編集/石川真吾 音楽/原 夕輝 8分/ホラー ©2021 STONE RIVER
This film was made for the 48 Hour Film Project.
www.48hourfilm.com
チーム名【STONE RIVER】
作品名『Food 2.0』
#48時間映画祭
#48HFP
#Food2・0
48hourfilm.com/tokyo/