FilmMaker Ishikawa Shingo

「Hairs」「Food 2.0」「スティグマ-STIGMA-」「裸で汁を出すだけの簡単なお仕事です。」「ラジオスターの奇跡」「蘇りの恋」「カササギの食卓」「出発の時間」などの映画監督、石川真吾のブログです。

不安と眠気の『Food 2.0』48時間メイキングPart4 そもそも48時間映画祭とは何か?

 

 

6月12日なかのZEROでの上映は盛況のうちに無事終了しました。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。このメイキング記事は本来、この上映のための「宣伝」だったのですが、わたしの筆が遅く、上映に間に合いませんでした。次世代の48時間映画祭フィルムメイカーのため、わたしのしんどさを分かってもらうため、引き続き書いていきます。だって、だって、ツラかったんだよぉ……。

<span style="font-size: 70%">
前回までの記事。

不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part1 仲間集め編 - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part2 仲間集め編② - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part3 仲間集め編・完 - FilmMaker Ishikawa Shingo
</span>

5/24

スタッフキャストのLINEグループを作る。

f:id:dptz:20210615174320p:plain

クルーにルールをあたらめて説明した。

 

B. 全ての創作作業は『公式な48時間』の中で行なわれなければなりません。コンペティション開催期間以外のどのような事前の創作作業も禁止します。創作作業は下記の項目に限ったものではありません。

  • シナリオ作成
  • リハーサル
  • 衣装、セットデザイン
  • 撮影
  • 編集
  • サウンドデザイン
  • レンダリング
  • テープや他のメディアへの書き出し

 

C. 『公式な48時間』に先立って行える作業は、

  • クルーを集める
  • 役者を集める
  • 機材の確保
  • ロケーションの視察、確保


F. 各参加チームには映画の中で扱われるお題として、ジャンル、キャラクター、小道具、台詞が割り当てられます。

お題のキャラクターは必ず、それがお題のキャラクターであると判別できる表現のもとで、画面に登場する必要があります。ただし、お題のキャラクターの名前を誰かが言ったり、文字を用いて名前を画面上で紹介する必要はありません。
お題の小道具は必ず画面に登場しなくてはなりません。お題の小道具の"画像"は許可されます。
お題の台詞は一語一句完全に使用されなければなりません。使用法は台詞として、歌の歌詞として、又は文書でもかまいません。

 

G. 全てのキャストとクルーはボランティアでなければなりません。

 

ⅲ. 各映画のエンドクレジットは最大60秒までです。その60秒はルールKにあるように、映画本編に追加されることになります。つまり、本編7分、60秒のクレジットが追加され、映画全体の長さは最長8分になります。

 

審査基準:
芸術的評価(ストーリー、創造性、娯楽性、など)(45%)
技術的評価(30%)
お題の遵守(25%)

48hfp.fffproduction.com

 

そしてここが重要。「ジャンル」。

Genre Group #1: 2021

  • アクション/アドベンチャー
  • コメディ
  • ダーク・コメディ
  • ドラマ
  • ファンタジー
  • フィルム・ノアール
  • フィルム・デ・ファム(下記参照)
  • 勝手が違う/居心地の悪い/場違いな(下記参照)
  • ホラー
  • モキュメンタリー
  • ロマンス
  • SF
  • スーパーヒーロー
  • スリラー/サスペンス
  • ウェスタ

Genre Group #2: 2021

  • バディ・フィルム
  • 成長物語
  • 食べ物
  • 休日/祭日
  • 多世代もの
  • ミュージカル
  • ミステリー
  • 時代物
  • リベンジ
  • ロードムービー
  • 学校もの (下記参照)
  • ソープオペラ/テレビ小説
  • 社会的主張 (下記参照)
  • スポーツ
  • タイムトラベル 

 

ジャンルは#1と#2の2つのくじを引き、どちらかを選ぶ。(両方も可)

地雷みたいなジャンルは ウエスタン、スーパーヒーロー、時代物、スポーツ、ミュージカルあたり。超やべえ・・・

 

 

わたしは

2018年 は  ミステリー   アクション/アドベンチャー
2019年は    喜劇    ダーク・コメディ

 

だった。比較的くじ運が良かったと言えるだろう。自主映画体制でも作れそうなジャンルだし、ミステリーもコメディも制作したことがあったからだ。

時代物とかウエスタンを引いたチームは、過去作を振り返ってみるに、正攻法でカツラや刀、テンガロンハットと銃を用意してやるチームも、大喜利的にひねってくるチームもいた。が、結果としてどちらもあまり面白いものではなかった気がする。

身も蓋もない言い方をするが、48時間映画祭で上映される作品の8割はクズである。8割はまったく面白くない。もしくは技術レベルが低くて見るのが苦痛である。

そもそも、48時間以内にショートムービーを完成させてしまうということのハードルが異常に高い。わたしも最初に聞いたときは狂気の沙汰だと思った。

その上、この"お題"(ジャンル、キャラクター、小道具、台詞)をこなさなければならない。

そして更に”面白くなければならない”のだ。こりゃ無理ゲーだよ……。

 

わたしの48時間映画祭の捉え方

商業映画監督になるためのステップ、実験室だと思っている。

商業映画監督に求められることは多い。ジャンルや原作のオーダーから始まり、芸能事務所や製作委員会のパワーバランスをかいくぐり、スタッフをひとつにまとめ、俳優部のご機嫌を取り、予算を守り、納期を守り、面白いものを作り、移り気な観客の空気を読んで、ヒットさせなければいけない。

商業映画監督はとんでもなくたいへんなお仕事だ。ストレスでハゲるか太るか痔になるか痛風になるのもやむなしだと思う(事実そういう先輩は多い)。ヒットしても次の仕事があるかは分からない。疲弊している先輩監督や、撮れなくなった/撮らなくなった先輩監督たちの姿を見るとほんとうにさびしい。

ボロボロの先輩たちの背中を見るにつけ、わたしは「自分の作品を作りたかった」のであって「商業映画監督」でありたかったわけではないんだよな……。一生自主でもいっか、などと思ってしまうこともある。まことに修羅の道である。

とはいえ、自主制作でやることの限界も常に感じてはいる。より多くの観客に観てもらって、かつ、生活していくには、「多彩なオーダーに応えられる商業映画監督」であることがマストであろう。

つまり、48時間映画祭のお題や時間制限って、そこまでキツくないんじゃないか。などと思うわけだ。世の監督さんたちはもっともっとストレスフルな中で闘っている。

 

くじ引きで決まる「ジャンル」。これはプロデューサーからの依頼だと思えばよろしい。

「キャラクター、小道具、台詞」、これは「原作」や「原案」だと思えばよろしい。

制限の中で創造性を発揮する。これ、意外と映画の本質的なところを突いている気がする。なんらかの「枠」があったほうが作りやすいのだ。そして、なんらかの「枠」があったほうが観客が見やすい。その「枠」がジャンルである。

ジャンル映画論

師匠の榎本憲男さんには「ハリウッド大手の映画会社が、大衆の好みに合わせて、型にはまった映画を作った。この型がジャンルである」と教わった。つまり、観客の欲望に応えて細分化されていった、安定したビジネスを約束する「物語の形」だ。

映画ジャンルの最初の基本形 (「アナトミー・オブ・ザ・ムービーズ」より)
・西部劇  the Western film
・恋愛映画 the Romance film
・喜劇映画 the Comedy film
・ミュージカル the Musical film
SF映画 the Science Fiction film
・冒険活劇 the Action Adventure film
・ホラー映画 the Horror film

ここからサブジャンルが発展し、混じり合って細分化されていく。

日本映画は、50%がアクション映画、残り50%が恋愛映画とドラマであった。
ドラマはどのジャンルにも属していない、ノンジャンルのヒューマンドラマだ。

映画の世界は、当てた人に「似たようなもの」を依頼するという傾向がある。一度ホラー映画でハネるとずっとホラー映画の依頼が来る。恋愛映画で当てると恋愛映画の依頼ばかり。青空映画で当てると青空映画の依頼ばかり。アクション映画で当てるとアクション映画の依頼ばかり。。。

このような状態は映画職人としては好ましい状況なのかもしれない。しかしわたしは同じものをずっとやることができない。ジャンル映画は職人の世界だ。わたしは職人というよりはアーティストだ(言ってしまった……恥ずかしい)。気分にムラがあり、言うこと、やることがコロコロ変わるわたしのような人間に職人ジャンル監督は難しい。

そもそも、自分にどんなジャンルが向いていて、どんなジャンルを撮れるひとなのか、分からない。というわけで、ランダムにジャンルを押し付けられる48時間映画祭はいい練習になるのじゃないかと思っている。

助監督修行が監督になるコース?

日本映画において、助監督をやることが「監督になるコース」だという。これはもうかなり破綻している。60歳オーバーになっても助監督をやってらっしゃる方も数名知っている。というか、助監督をやる方が「食える」のである。

自主映画をつくって、賞でも取って、それなりの観客をつかんでいる若い監督に低予算で撮らせたほうが効率的だ、とそう判断するプロデューサーがいる。そのかわり、その若い自主映画あがりの監督は、ずっと、「同じジャンル」を撮らされる。適切な例かわからないけど、清水崇さんはホラーの仕事ばかり来るそうだが、本当はメロドラマをやりたいんだそうだ。しかし、ホラーの発注があれば、腕のある人だから、怖いホラーをつくってくれる。だから仕事が絶えない。

今泉力哉さんのように、「撮りたいのも撮れるのも恋愛映画」っていう奇跡的な方は例外だ。あの人は幸福なんじゃないだろうか。Twitter見てるとたいへんなように見えるが、贅沢な悩みだ。嫁も子供もいるし。羨ましい。

ゴリゴリの助監督業をやっている方は本当に尊敬する。わたしも助監督の仕事をたまにやるが、連打では受けないようにしているし、本当に面白い企画・シナリオでない限りなるべくやらないようにしている。本っ当に疲弊するからだ。

演出部というのは「根性」を見られているのだ。

演出部というのは、監督からも、プロデューサーからも、俳優部からも、制作部からも、メイク部からも、衣装部からも、美術部からも、照明部からも、撮影部からも、怒鳴られ、文句を言われ、期待してるよとかなんとか甘い言葉をかけつつパンクしそうな仕事量を押し付けられ、根性を試されて、下積みをしながら成り上がっていく。しかしそれは幻想だ。上の世代の映画監督たちは引退しないし、企画はなかなか成立しないし、そもそも映画監督という職業が供給過多だ。

演出部は「監督になれるぜ〜」というニンジンをぶら下げられて馬車馬のように働かせられる奴隷のようなものだ。

演出部に「おもしろい映画を撮る才能」なんて試されてないし、求められない。現場の中心として、各部をまとめ、進行していくのが仕事だ。そして、めっちゃくちゃ忙しい。映画・ドラマ業界の人手不足はたいへん深刻であるが、演出部のなり手は少ない。次から次へと仕事がある。体育会系な雰囲気が残る業種なので先輩からの次の仕事の誘いは断れない。

だから、監督になる上で必須の、シナリオや編集やジャンル映画の作り方を学ぶ時間がない。

たとえ学ぶ時間を確保したとしても実践できない

映画において、理論を学んでも、いい映画をつくれるという保証はどこにもない。実践あるのみだと思う。今の商業映画の監督は失敗できない。1作1作、確実に当てていく必要がある。

 

(いちおう補足すると、わたしは監督になりたいが才能がない人は助監督をやるべきだと思っている)

 

わたしは48時間映画祭に「失敗しに」来ている。

だから「出たとこ勝負」でいいやと思っている。

敬慕している黒沢清監督は「映画作りはすべて準備で決まる」と言っていて、完全に同意する。商業映画作りは「出たとこ勝負」ではいけないのだ。

だから自主映画で「出たとこ勝負」をしていっぱい負けて学んでおく

「出たとこ勝負」で「失敗したのか、成功したのか?」。自主映画と商業映画の両方の領域で活動する中途半端なわたし、まだ何者でもないクズのわたしの今回のチャレンジです。

すっごい文字数書いた気がするけど、まだ48時間映画祭が始まってもいない。

このエントリー、まだ続く。

 

 

f:id:dptz:20210529155341j:plain

 

ストーリー/行方不明になった父を探す女子高生。ようやくたどり着いた研究所で食べさせられたのは、世界を救うおにぎり。

 

出演/成海花音  横須賀一巧  免出知之 アライジン 柳生はる奈 美南宏樹 SHINYA 児玉アメリア彩

監督/石川真吾 脚本/宮本晴樹・石川真吾  撮影監督/ 江口裕祐  撮影助手/佐藤 遊・船場 幸平  録音/飯島花衣
美術/定塚由里香  編集/石川真吾  音楽/原 夕輝  8分/ホラー  ©2021 STONE RIVER

This film was made for the 48 Hour Film Project.
www.48hourfilm.com



チーム名【STONE RIVER】
作品名『Food 2.0』

#48時間映画祭
#48HFP
#Food2・0
48hourfilm.com/tokyo/

 

不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part3 仲間集め編・完

前回はこちらで

不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part1 仲間集め編 - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part2 仲間集め編② - FilmMaker Ishikawa Shingo
</span>

 

もっとも不安のタネが、シナリオであった。


脚本・宮本晴樹

宮本さんに4月の段階で声はかけていたのだが、返事が保留になっていて、正式に参加が決まったのは48時間映画祭が始まる数日前だった。自分ひとりでシナリオを書かずに済んで心底ホッとした。

宮本さんは、前回俳優として参加してくれた。
宮本さんは、歌を歌い、芝居をし、小説を書くプログラマーだ。ハイパーにアクティブな人間だ。
そして宮本さんは複数の生きづらさをかかえた人だ。

虐待、ADHD、性別違和、親との不和、派遣SEの構造的問題。余計なお世話だろうが「日本社会の残酷」を全部煮詰めたような人生を送ってらっしゃる。ような気がしてしまう。のに会うと明るく元気だからこっちも救われる。ぜひ、将来、オードリー・タンみたいな人になっていってほしい。

宮本さんが書くものは<百合>や<BL>だ。わたしが興味のあるジャンルではない。しかし、よくよく読むと「回復」の物語ばかりである。宮本さんは「過去の過ちや傷についての癒し」が自分のテーマだと仰っていた。わたしが求める「復活」の物語とも親和性がある。

そして師匠が共通なので共通言語が多くて話が早い。

宮本さんは、自分の中にあるマグマのようななにかを表現しないと死んでしまう。そんな人だと思う。だから宮本さんはツイ廃だ。複数のアカウントで、いつ寝てるの? いつ仕事してるの? な頻度で書き込みがある。いま転職活動中で暇があるらしく、そのエネルギーをちょっとだけ石川組に向けてもらおうと、誘った。

そして、宮本さんといると無条件に楽しいのだ。互いにオタク気質だからか、話題が豊富で、1振ると10返ってくる。とんでもなく頭の回転が速い。一緒にいるとこっちまで頭が良くなったような気がしてくるのだ(気のせいだけどね)。

そもそもシナリオを書く作業はしんどい。孤独だ。

シナリオは毎年毎年、不安なのだ。映画制作でいちばん重要なシナリオを、寝ずに10時間そこらで書きあげなければいけない。お題に答える大喜利力。ジャンルを成立させるための教養。エンターテインメントとしてまとめる構成力。映画としての骨格を整えつつ、7分という短尺で成立するシーンの構成。

根気、集中力、体力。

わたしはそのすべてを持ってない。

だから他人に頼る。

0を1にするのはたいっへんなエネルギーがいるのだ。

1を1.1にするのは比較的楽ちんなのだ。書いてもらったものを利用して自分の色に染めちゃう。なので、わたしはシナリオを直す。直しまくる。跡形もないくらい直す。ごめんね。でもあなたが書いてくれたシナリオが下書きになってくれたおかげで自由に飛躍できたんだよっ。

 

免出知之

f:id:dptz:20210613165014p:plain
ハイスピード&ハイテンション劇団「こちらスーパーうさぎ帝国」の名バイプレイヤーである。定塚さんが連れてきてくださった。前々から彼のファンだったのでとても嬉しい。とにかく顔がいい。どう使っても味が出そう。本人は至って真面目な人間だと思っているようだが、はたから見たら狂気の人である。そのギャップがいい。しかし、ヘタな使い方をすると劇団の演出家・白柳さんから嫌味を言われそうで不安だ。


ライジン

f:id:dptz:20210613165247p:plain

今回はじめて会いました。横須賀さん紹介で来てもらった俳優さんだが、作り手でもあって、48時間映画祭にすごく興味があったそうだ。榎本桜・牛丸亮、この2人とも関係が深いようだ。榎本桜氏・牛丸氏は公私ともにお世話になりっぱなしで、仲良くさせてもらってはいるが、それは今だけである。業界からいずれは抹殺しなければならないと強く思っている。あのクソ2人の息のかかった奴なら最大限警戒しないといかんな〜と思って接していたが、アライさん、めちゃめちゃいいやつだった。クソなのはわたしだ。ああ、不安だ。

 

作曲家・原夕輝

もはや大御所の域もある原さんだけど、今回も立候補して参加してくれた。ええんかな〜。ノーギャラですぜ? 20年近い作曲家としてのキャリアがある原さんだが、賞を一度も取ったことがないんだそうだ。わたしがてきとうに作った『ラジオスターの奇跡』の曲で音楽賞を取ったことを妬んでおり、会うたびにいびられる。関西人は怖いぜ。不安だ。とにかく今年は原さんに作曲賞を取ってもらいたい!!

 

録音・飯島花衣


ムサビの後輩である。大学をこの3月に卒業したばかり。フリーランスの録音部としてやっていきたいのだそうである。えらい。江口から録音部は探しておいてね〜、と言われたんで一番後輩を誘った。昨年10月に『自宅警備員フェアリーテイル』という作品で8日間、函館で一緒に過ごした仲である。じつは特に仲良くはない。しかし、信頼している。ムサビの連中というのは総じておしゃべりで口だけのバカが多いのだが(代表格がわたしだ)、彼女は真面目に淡々と業務をこなす。わたしのつまらないギャグをスルーする力も高い。えらい。しかし、録音技師経験があるのかはよく分からない。聞くのも怖い。不安じゃ〜。

 

柳生はる奈

前回に引き続き立候補してくださった。彼女は星野源の大ファンで、ガッキー・星野源結婚ショックで死んでいる可能性がある。不安だ。

 

f:id:dptz:20210613165457j:plain

クセが強い人たちが集まってくれた!


強力なチームが集まってくれた。しかし人が増えると楽しみも増えるが不安も積み重なっていく。そうしてキックオフを迎えた。 つづく。

 

 


www.youtube.com

 

f:id:dptz:20210529155341j:plain

ストーリー/行方不明になった父を探す女子高生。ようやくたどり着いた研究所で食べさせられたのは、世界を救うおにぎり。

 

出演/成海花音  横須賀一巧  免出知之 アライジン 柳生はる奈 美南宏樹 SHINYA 児玉アメリア彩

監督/石川真吾 脚本/宮本晴樹・石川真吾  撮影監督/ 江口裕祐  撮影助手/佐藤 遊・船場 幸平  録音/飯島花衣
美術/定塚由里香  編集/石川真吾  音楽/原 夕輝  8分/ホラー  ©2021 STONE RIVER

This film was made for the 48 Hour Film Project.
www.48hourfilm.com



チーム名【STONE RIVER】
作品名『Food 2.0』

#48時間映画祭
#48HFP
#Food2・0
48hourfilm.com/tokyo/

 


不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part1 仲間集め編 - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part2 仲間集め編② - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の『Food 2.0』48時間メイキングPart4 そもそも48時間映画祭とは何か? - FilmMaker Ishikawa Shingo

不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part2 仲間集め編②

前回はこちら不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part2 仲間集め編② - FilmMaker Ishikawa Shingo

 

撮影部と主演女優は見つかった。
しかしそれだけで映画が撮れるわけではない。

美術が映画を左右する

映画美術というのは映画の華であり、本質であると思う。
低予算自主映画出身のわたしの映画づくりに「美術」パートがいたことはない。昨年まではぜんぶ自分でやっていた。昨年撮った『スティグマ-Stigma-』にコロナでスケジュールが空いていた定塚由里香さんが参加してくださった。

f:id:dptz:20210612102037p:plain

全編室内の映画で、20代前半の女性の部屋をつくる自信がわたしにはなかった。初めて美術部というものを雇った。結果は大正解だった。まず作業が減って単純に楽だったし、演出に集中できた。こちらにないアイデアをポンポン出してくれて大変ありがたかったし、楽しかった。定塚さんはとにかく雰囲気が良い。優しくて丸っこくてかわいい。発言にトゲがない。大酒飲みだというのもいい。普段は劇団☆新感線とか深田晃司組の美術とか売れっ子なので雇えてラッキーだった。さてしかし、今回はお仕事ではない。ノーギャラの、ある意味真剣な「遊び」だ。

f:id:dptz:20210612102142j:plain

軽いノリで参加が決まる。
ありがたいぜ〜

しかし48時間映画祭は出たとこ勝負。48時間より前に会わないし、打ち合わせすらしない。映画美術は準備がすべてと言っても過言ではない。準備時間がなければ美術監督たちは何もできないのだ。またしても不安が募る。けっきょく定塚さんのパワーを発揮できないまま終わったりしやしないか。。。

 

頼りにしているレギュラー横須賀一巧

f:id:dptz:20210612102423p:plain


(わたしが勝手思っているだけだが)石川組レギュラー俳優の横須賀一巧さん。48は2回、Stigmaにも出てもらっている。『GOLDFISH』にも出てもらっているし、成海花音さんとも面識はないが『ブレイブ』で共演していたようだ。

どうもわたしはクセが強い俳優が好きなようだ。
とにかく飄々として、大物と絡んでもブレないし、勉強熱心なんだがヘンにガツガツしてないところもいい。

f:id:dptz:20210612102532j:plain


向こうから声をかけてきたんで仲間に入ってもらった。うれしい。しかし、こんだけ世話になっているのに、いい役をあげられるかどうかはまったく未知数だ。出たとこ勝負なんだから。不安だ・・・。

 

うまいこといかない俳優さんもいる

来るものは拒まず、去るものは追わず。たとえ長い付き合いでも、なんだか気持ちいい関係でいられない方もいる。

俳優と監督の関係というのは、恋愛に似ているのかもしれない。短い期間で愛情を燃やす。いずれ熱は冷める。恋人からパートナーに関係が変わっていく。愛し合った美点が憎たらしい汚点に変わってしまう。役割はどんどん変わっていく。恋人→夫婦→親と。人間関係を維持するのは本当に大変なものだ。友情や仲間意識などという不定形なものに頼るならなおさらだ。だから商業映画ではマネーの力を使う。マネーは平等だ。しかし アイ・ハブ・ノー・マネー。

この人と一緒に映画を作りたい、と思う時、脳内で起こっている感情のスパークはきっと恋と一緒のはずだ。
ときめきに死す
だんだん何を書いているのか分からなくなってきた。本題に戻る。

才色兼備・正統派美人・児玉アメリア彩

f:id:dptz:20210612103403j:plain

江口っちゃんの事務所でカメラテストをするというので喜んで向かったら、来てくれていたのが彼女だ。児玉アメリア彩さん。とんでもない美人で驚いた。才色兼備とは彼女のことを言うのだろう。英語が堪能。踊りもできる。日本酒効き酒もできる。食レポもできて、演技もできる。さて、こういう正統派美人をどうしたら良いのか。逆に困った。この時点ではどんな映画を作るかノープラン。なんとなく、顔立ちから、ホラーっぽいものが彼女は似合うんじゃないかと思ったので、ホラーっぽいテストピースを撮っていた。

f:id:dptz:20210612102803j:plain

彼女とコミュニケーションを取れたのも2時間くらいで、どんな方なのかよく分からない。サシでしこたま飲んだり、エチュードやらせまくったりしたい。・・・不安だ。

 

仲間集めの旅はまだ続く。

 

f:id:dptz:20210603023228j:plain


 


www.youtube.com

 

ストーリー/行方不明になった父を探す女子高生。ようやくたどり着いた研究所で食べさせられたのは、世界を救うおにぎり。

 

出演/成海花音  横須賀一巧  免出知之 アライジン 柳生はる奈 美南宏樹 SHINYA 児玉アメリア彩

監督/石川真吾 脚本/宮本晴樹・石川真吾  撮影監督/ 江口裕祐  撮影助手/佐藤 遊・船場 幸平  録音/飯島花衣
美術/定塚由里香  編集/石川真吾  音楽/原 夕輝  8分/ホラー  ©2021 STONE RIVER

This film was made for the 48 Hour Film Project.
www.48hourfilm.com

 

48時間映画祭
プレミア上映会日程

6月12日(土)
会場:なかのZERO西館小ホール

上映時間
17:00 開演(16:30 開場)

1,000円/プログラム
石川真吾監督
チーム名【STONE RIVER】
作品名『Food 2.0』

#48時間映画祭
#48HFP
#Food2・0
48hourfilm.com/tokyo/

 


不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part1 仲間集め編 - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part3 仲間集め編・完 - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の『Food 2.0』48時間メイキングPart4 そもそも48時間映画祭とは何か? - FilmMaker Ishikawa Shingo

不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part1 仲間集め編

今年で3度目の挑戦となる48時間映画祭。手慣れたもんだぜなどと思っていたら過去いちばんキツかった。これはその苦闘の記録である。 

エントリーするかどうか

昨年は不参加だったが今年はエントリーすることにした。

↓この時はまだウキウキしているアホである。

 

 

昨年(2020)は不参加だった。5月開催予定だったのが12月に延びたせいもあり、夏に『スティグマ』という短編を撮って、創作欲は解消できていたというのもある。そして……なんだかんだ言って新型コロナウイルスが怖かったのである。

なので、究極のコロナウイルス対策は、ひとりで撮ってひとりで編集することだろうと思っていたのだ。

ひとりで全部。やったことは、なくはない。

やってみたい。けど、ひとりって……さびしいよなあ。

48HFPの圧倒的な祝祭感の正体。それは「ノーギャラでもなんでもいいからなんか面白いことをやりたい!」という人々が短期間に集まる熱量である。

ひとりスタイルは、自分がこのまま嫌な感じのジジイになってからでいいや!

 

カメラマン探しの旅

というわけでまずは撮影のハルさん(PHOTOGRAPHER HAL氏)に声をかけた。氏は48時間映画祭に2度、長崎で撮った自主映画で1度、映画を一緒に撮っている。仕事でもさんざんご一緒させてもらっている盟友である。彼がいなければStone Riverは成り立たない。

f:id:dptz:20210611203435p:plain

しかし個展のためスケジュール合わず!
爆死! しかもその個展、私もモデルとして出てたりするので無理も言えず。

f:id:dptz:20210611203820j:plain

わたしのガラの悪さがよく出てますな

 

撮影部 江口裕祐 えぐっちゃん!

最近、REDのKOMODO 6Kという最新鋭のデジタルシネマカメラを買った、もう1人の盟友を思い出した。

f:id:dptz:20210529111256j:plain

えぐっちゃん(江口裕祐)である。出会いは確か2008年くらい。かれはまだ業界入りたて、ペーペーの撮影助手のサードだかフォースだかだった。わたしは当時24歳。今の数億倍バカで生意気だった。えぐっちゃんはバックパッカーをやっていたからか、明るく楽しく、コミュニーションがうまい。とにかく気持ちいい奴なのだ。その後、数えきれないくらい現場を共にした親友である。その後カメラマンとして独立して、会社を立ち上げ、高価な機材をガンガン買って売れっ子になっていった。主にCMやVP。が、わたしとえぐっちゃんは監督とカメラマンという立場では初タッグであった。不安!

そもそも私を48時間映画祭にはじめて誘ったのはえぐっちゃんなのだ。2018年のCNSS加賀賢三組で、編集をやらないかと誘われて、48時間映画祭というものをわたしははじめて知った。加賀賢三くんも親友だし、かれの現場も参加したことがあった。それでも加賀組の編集をやるのは不安だったのだ。ノーギャラだし・・・。結局、加賀組を断って自分で監督してエントリーして、グランプリをかっさらってしまった。加賀くんには悪いことをした。今度かれの映画を手伝うんで帳消しにしてもらおうとも思っているが予算が厳しいんでまた断ろうかな。

 

俳優部

さて、カメラマンは決まった。さて、じゃあ、俳優部をどうしよう。

前2回の48HFPは基本的にこちらから、知っている俳優に声をかけていた。ワークショップで知り合ったり、撮影現場で知り合ったり、友達だったり。言い方は悪いが「ノーギャラで無茶苦茶な撮影に付き合ってくれそうな」人間を選んでいた。

要はチャンスに飢えていて、話がしやすい「いいやつ」を誘っていたのだ。100%自分の金で作る映画に、「いやなやつ」を呼びたくない。いいも悪いもすべて映画の現場はさらけ出してくれる。わたしは役者としてのスキルや知名度より、人間性を見る。ひそかに師匠と仰いでいる阪本順治監督の教えである。

とは言え、ノーギャラである。ノーギャラは48HFPの「ルール」とはいえ、毎回毎回、同じ人間に声をかけるのは忍びない。なので今年はこちらから俳優に声をかけることはしなかった。来てくれた役者はすべてSNSでのキャスト募集や、スタッフ/キャストの紹介である。たったひとり、成海花音さん以外は。

f:id:dptz:20210611222720j:plain

新人女優・成海花音

成海花音さんとは今年の1月、『GOLDFISH』という映画のオーディションで出会った。探していたのはベテラン映画スターが演じる主人公の高校生の娘役。難役だった。わたしはチーフ助監督という立場で参加しており、オーディションでの演技の相手役もつとめていた。40人くらい会った中で、唯一ピンと来たのが彼女だった。藤沼伸一監督も同じ気持ちだったようだ。あとで知ったがシナリオの港岳彦さんも彼女の写真を見て自分が書いた映画の登場人物がいる!と思ったそうだ。

 

成海花音さんは相手の目をまっすぐ見る。目をそらさない。わたしはそのオーディションで相手役を演じ、そのでっかい瞳に魅了された。しかも、大物やコワモテの人間と交流させても物怖じしない。なんと彼女の母はホラークイーンの佐伯日菜子さん、父は元サッカー日本代表奥大介さんだ。わたしはお二人ともにファンだったので大変びっくりで光栄。撮影現場に佐伯日菜子さんがいらっしゃった時は嬉しかったな〜。

 

そして、成海花音ちゃんはとにかく明るくて性格がよいのだ。

またお仕事したいな〜って思う女優さんだった。

 

 

「またいつか」って、今かもしれない。

 

f:id:dptz:20210611234514p:plain

だって 

f:id:dptz:20210611235806j:plain

twitterで「いいね」くれたし

 

f:id:dptz:20210612000509p:plain

主演女優をDMで口説くの図

 軽〜く「出ます?」とか言ってますねこのインチキ監督は。

この後所属事務所のVivienneにちゃんと依頼し、快諾してもらう。よっしゃ!

 

しかし『GOLDFISH』の看板ヒロインを借りてしまって、ヘタなものは作れないという不安が出てきた。

今年のテーマはDTS。

「出たとこ勝負」さ!

 

そんな気楽なことは言ってられなくなるのが48時間映画祭。 このエントリー続く。

 

 

f:id:dptz:20210529155341j:plain

Food 2.0

 

ストーリー/行方不明になった父を探す女子高生。ようやくたどり着いた研究所で食べさせられたのは、世界を救うおにぎり。

 

出演/成海花音  横須賀一巧  免出知之 アライジン 柳生はる奈 美南宏樹 SHINYA 児玉アメリア彩

監督/石川真吾 脚本/宮本晴樹・石川真吾  撮影監督/ 江口裕祐  撮影助手/佐藤 遊・船場 幸平  録音/飯島花衣
美術/定塚由里香  編集/石川真吾  音楽/原 夕輝  8分/ホラー  ©2021 STONE RIVER

This film was made for the 48 Hour Film Project.
www.48hourfilm.com

 

48時間映画祭
プレミア上映会日程

6月12日(土)
会場:なかのZERO西館小ホール

上映時間
17:00 開演(16:30 開場)

1,000円/プログラム
石川真吾監督
チーム名【STONE RIVER】
作品名『Food 2.0』

#48時間映画祭
#48HFP
#Food2・0
48hourfilm.com/tokyo/

 



不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part2 仲間集め編② - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part3 仲間集め編・完 - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の『Food 2.0』48時間メイキングPart4 そもそも48時間映画祭とは何か? - FilmMaker Ishikawa Shingo

 

コロナ禍な2020年を映画などでふりかえる

2020年映画ベストランキング

  1. 無頼
  2. 燃ゆる女の肖像
  3. クイーンズ・ギャンビット
  4. フォードvsフェラーリ
  5. マリッジストーリー
  6. ミッドサマー
  7. 地獄の黙示録ファイナル・カット RGB4Kレーザー
  8. ローマの休日
  9. ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語
  10. 悪人伝

 1時代に逆行する、昭和ヤクザクロニクル。的確なアクションと語り口に痺れる。2、女性による女性のための、男性目線の映画文法を排除した豊穣なミニマルさ。今後の映画を占う重要作。邦画が一本もない・・・う〜ん、そこそこ本数は観てると思うんだけど。

今年のう~ん映画

邦画は特に、私がターゲットじゃない映画に文句をつけてもしょうがないんだけど・・・あまりに退屈だったり俗悪だったりで

 

参加した作品で公開された映画

 

参加した映画など

  • 金子組新作、一部演出部として(情報未解禁)
  • FOD連続ドラマ『あの子が産まれる・・・』DITとして(放送済み・FOD配信中)
  • 藤本匠組『自宅警備員フェアリーテイル』演出部チーフとして(公開未定)
  • 野伏翔監督『めぐみへの誓い』編集部として(2021.2.19公開)
  • 亀井亨監督『空蝉の森』予告編一部(2021.2.5公開)
  • 平波亘監督『believers』予告編一部(公開済み)

いろんな仕事、いろんな現場のお誘いがあって、コロナの影響で断ったのが多い。特に今年は制作部は一本もやらなかった。演出部と編集部。CM/VPはほとんどナシ。純粋な年収は大幅ダウン。補助金と借金でどうにか暮らしている。毎年楽しみにしていた10年来のレギュラー仕事が飛んだ。おそらく2度と復活しないだろう。コロナで赤江珠緒さんの声の不在。日常が吹き飛んだんで、金髪にした。

 

スティグマ

f:id:dptz:20201231221752j:plain

緊急事態宣言下の5月半ばから「コロナ後の世界」を描いた映画の構想を練りだす。

兄弟弟子に当たる工藤裕子さんにシナリオをお願いして、『スティグマ』という24分の短編になる。持続化給付金を全て突っ込んだが、政権をおちょくるようなテイストのものになった。自分ではかなりいい出来だと思っている。是非に。


【SF短編映画】STIGMA -スティグマ-

 

お題「#買って良かった2020

今年買ったええやつ

 

 

 音よすぎ!

 

 

 便利スギィ!安すぎ!

 

 便利〜

 

 

R.I.P.

  • 志村けん
    小さい頃から今まで笑わせまくってくれた偉大な存在
  • 大林宣彦
    最後まで作品は好きになれなかったけど偉大。尊敬している
  • 志賀廣太郎さん。『幼獣マメシバ』シリーズ、『森のカフェ』でお世話になりました。謙虚でダンディなお方で、お声の低音の響きが素晴らしかったです。またいつかご一緒したかったです。ありがとうございました。
  • ジョージ秋山
  • 横田滋さん
    40年間、娘の生存を疑わず、路上に立ち、演説を続けてきた。尊敬しかない。
  • 追悼、森﨑東監督。遺作となってしまった『ペコロスの母に会いにいく』に参加させてもらったことは僕の一生の誇りです。監督の新作を観たかった。ご冥福をお祈りいたします。
  • ショーン・コネリー
  • イモータン・ジョー
  • 小松政夫
    遺作となった『めぐみへの誓い』参加させてもらいました。

 

Tweetでふりかえる2020年 

 

3.16 ゾッとした。夜の歌舞伎町の閑散具合が、2008年のリーマンショックのときそっくり。

 

東京オリンピックは安倍と森の墓標だと思っていたが、このままだと日本の墓標になっちゃう。

 

4.8 映画の灯が消えている

 

4.15 しかしほんとうにSFみたいな時代に住んでいる。個人の妄想よりも現実世界の方が混沌としている。

 

4.16「もとの生活」になんて戻れないだろ。前提条件が変わってしまった。

 

4.17 コロナでいちばんバレたのは政府の無能ぶり

 

4.20 政府のせいで仕事無くなって1ヵ月。まだなにもしてもらってない。もうすぐ不良品のマスクが届くらしいが廃棄します。寄付するのも衛生的に悪い。 https://pic.twitter.com/AuQct466pB

 

4.21 仕事ないから夜遊びするか!

4.21 仕事ないから髪伸ばすか!

4.21 仕事ないから二度寝するか!

4.21 仕事ないからテレビずっと見る

4.22 とにかく間違いなく長期化するので、それに合わせた身の振り方を考えなければならない。

4.25 カビノマスクはカビの生えたような古い政権の象徴

4.25 はあ、天気もいいし、映画館に行きたい

4.29 

富士山の吉田口登山道、山小屋16軒を一斉休業夏山シーズン中止

4.30人が死んでいくのがつらい

4.30はあ、結婚したい

5.1 いまの時代、人と会うのがいちばんのリスクで、いちばんのエンタメ

5.1 不安も体重も増してくばかりだ

5.3コロナが収束する頃にはわしははち切れて死んでるだろう

5.3なんかコロナ禍のせいで となりの街に行くことも 隣の県の山に行くことも隣の国行くことも難しくなった つらいのだけど どこか 世界がまた広くなってくれたような気がする

5.5 映画館も再開!!

 5.10 いまもう、みんな家にいるから電話するとすぐ出るね

5.16 国民ナメられてるよなあ。

5.22 このご時世にあって感染症対策の予算や準備、心掛けがない映画の現場はかなりきびしい。コロナ前に予算策定した映画なら予算アップは難しいだろう。それでも無理にやろうとするなら、犠牲になるのは現場の人間。もっと言うと制作進行だ。やりたかったけどお断りした。

大人気のI組。

5.22 はーしばらく現場仕事ない。自分の作品つくろう。

5.28 メディアリテラシー環境保護、歴史意識、国際意識、人権意識、ジェンダー、差別、ハラスメント……etc

表現する前に学ばなければならないことは山ほどある。

しかも、しょっちゅう書き換わる。

5.29 わーい、映画館再開や。嬉しい~。ちょうど映画の日だし、ハシゴしよう。

5.31 4ヶ月ぶりの映画館は『地獄の黙示録 ファイナル・カット』じゃ!シネチッタはLIVEサウンドxRGB4kレーザーとかいう凄いやつらしい。ああ、劇場の椅子の座り心地はさいこうや  

6.1今日は映画の「復活」の日だな。劇場がパンパンだといいんだけど。

6.2感染者数がジワジワ増えている。映画館やジムがようやく再開し始めたのに。でも、またあの気鬱な緊急事態宣言下の自粛は嫌だ。韓国みたいに第二波の生でロックダウンも嫌だ。もう、ある程度プライバシーは放棄してもいい、って気分になってきている。ただし、誠実な連中が正しいことをする場合にのみだ

6.5TOHOシネマズのうざいシネアドとかウサギとかの独自コンテンツ。久しぶり!と思ったけど3秒でうざくなった。

6.8 赤江珠緒「今日みんなに会えたことがめっちゃ嬉しい」

同じく。、

相変わらず選曲が神がってるな……

「やさしさにつつまれて」

これだけ安心する声もないなあ。赤江さんおかえりなさい。

6.9 地獄

/米富裕層の資産、コロナ禍の3カ月で62兆円増える

6.12 メンタルはヘラヘラしていこう。略してメンヘラ。

6.12 近隣の方ビール飲み過ぎやないの……

6.15 申し訳ないけど、オンライン映画祭というのは私の思う映画の定義を変えているので支持できない。見るつもりもない。

6.16 そもそも振込先持ってないと「国民」じゃないみたいなのも嫌だね・・・国が救うべき弱者って何ですの

6.27 はあ、空耳アワーが帰ってこないと日常が戻ってきた感じはしないなあ

7.2 お願いしてよかった。いいシナリオが届いた。わたしじゃ逆立てしても書けん。

7.5 投票率37。小池再選。わかっちゃいたけどやっぱりへこむなあ。無力感でいっぱい。汗を流しに起き上がる気力もない。東京よ、正気か?でも、これからも百合子に文句を言い続けるぞ。

7.8映像業界の皆様、現場がかなり再開してきてますが、もし感染者が出たとしても絶対に隠さないでください。この時代、嘘はすぐバレます。情報にフタをするのは限度があります。我々の業界が世間から敵視されることが目に見えてます。クラスターが起きるのは悪ではありません。適切な対応をしないのが悪。

7.12母親に電話したらHP回復した。母は偉大。

7.13 日本めちゃくちゃだな。コロナ関係ない。立法、行政、司法ぜんぶめちゃくちゃ。あらゆる役所の前にでっかいクソのタワーを建ててやりたい。

7.14 歌舞伎役者ってずっと代々続く家に生まれ、国から保護されてる甘ちゃん達だからこんな程度でショック受けている。バイトしろ。

片岡孝太郎、Uber配達員の顔を見て「大変にショック」(デイリースポーツ)

 

7.8死が救いだとは、おれは絶対認めない。

若い子の死はこたえるなあ。後追いとかすんなよ~。悲しみを増やすだけぞ

7.24ひょっとして、オリンピックって、人を不幸にするんじゃないのだろうか。

7.24 GO TOトラベルとテレワーク7割。矛盾しかないようだけど、政府としては矛盾はしてない。つまり、彼らは感染症の拡大を止める気はない。病院がパンクしなければいい。そのうち神風のようにワクチンが出来て日本は救われる。彼らは本気でそう信じている。狂気だね。 

7.30マスクはやめれてもGO TOはやめれないんだな。緊急事態宣言はやめれてもオリンピックはやめれないんだな。知性が不足してる。

7.30素人からすると、エピセンター対策をなぜいままでやってこなかったの?ってなる。緊急事態宣言ってなんだったの?働く人間から仕事もプライドも生きがいも奪って、ケチな補償金払って、感染症の拡大抑え込めてないじゃん。

7.30 「生産性」の女とか、松井一郎の「生きる価値を見いだせない人もいるから尊厳死」とか、石原慎太郎とか、政治家って選民思想の人がなる職業なのかな。

8.1コロナ禍と、それによる断絶、寛容さの消失。私が今年感じたことすべてを入れました。『STIGMA』ぜひご覧ください。

8.4「人間が怖い」ってことよりも、「世界がある日突然変わってしまう」ことこそが恐怖なのです。3.11の震災やコロナ騒ぎで皆さん実感されたことがあると思います。不可逆的な、不条理なまでの変化で、必ず置いてけぼりをされる個人がいる。そこにこそドラマがあり、映画が描くべき領域が残っている。

8.5上の世代が、映画はもうすぐ死ぬとか言ってるのを見ると悲しくなる。もう怒りもわかない。こちらは淡々と作り続けるのみです。

8.9

オリンピックもう終わってたんだ。本当にSF映画のなかにいるみたい。

 

8.11コロナにかかった人を自殺に追い込むような陰湿な社会なんて滅んだ方がいい。マジでそう思う。

8.17“戦争を語り継いでもダメ 戦前こそ語り継がなければならない そこには戦争へのプロセスが隠れているから”

v

8.26まったく、借金まみれだよ。今年ろくに働いてないからなあ。

8.28安倍辞任!?安倍政権とうとう倒れる、か。いい方向に変わればいいけど。虹が出てた。

8.29メディアと野党、選挙に行かない人々。

 

8.30拙作『スティグマ』がINDEPENDENT SHORTS AWARDS(LOS ANGELES)の7月のセレクションに選ばれました!特別賞(HONORABLE MENTION)の最優秀ドラマ短編だそうです。とにかく海外の人にも届いたのが純粋に嬉しいです。

9.14うーん。。。きついな。。。本当に才能のある女優さんだったのに。ご冥福をお祈りいたします。 

 

914

V51TXAFr_normal.jpg

石川真吾 STIGMA@ishikawaSHINGO

芦名さん2本仕事ご一緒してすぞい良くなってたのに。。。

posted at 16:28:50

 

 

 

914

V51TXAFr_normal.jpg

石川真吾 STIGMA@ishikawaSHINGO

芦名星さん自殺!???

 

マジかよ……

 

 

10.11

ホロコーストヒトラーが一人で起こしたのではなく、“ユダヤ人は出て行け”といった街角のヘイトスピーチから始まりました」。今の日本はヘイトスピーチホロコーストの間の、どこに立っているか。“

 

「優生思想」と向き合うことは、自身の中の「加害性」に気づくこと https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76157?page=2…

 

10/27 ビッグピクチャーへの接続回路がない映画はつまらない

10.30巨大なアルゴリズムに一喜一憂させられる、そんな現在

11.5 チャンネル登録者1000人超えた。ありがとうございます😊 https://pic.twitter.com/7fdyopeFol

いつの間にか58万回再生……

 

【短編恋愛映画】蘇りの恋 Love Resurrection

11.21“コロナ禍で年収200万円以下の世帯に限ると3割が収入が5割以上減っていた”

 

自殺者数、2000人超の衝撃。女性は82.6%増加。今の日本は何かが「決壊」しつつある

12.17今の政府のやることなすこと、「便利そう」「よりよくなりそう」なワクワクや期待感はまるでなく、「これは悪夢」「最悪」みたいなバッドな展開しか予感されないのホントすごい。逆にすごい。

12.17 法案を考えてる連中が見ている「国民」って私のことじゃないのね、感がいつも。

 

来年もまた来年も、とにかく作り続けたい。

とにかく観てくれ『めぐみへの誓い』


映画『めぐみへの誓い』予告編

とにかく観てくれ『スティグマ


【SF短編映画】STIGMA -スティグマ-

 

 

2019年を映画などでふりかえる

2019年映画ランキング

  1. 家族を想うとき
  2. サタンタンゴ
  3. ROMA/ローマ
  4. バーニング
  5. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
  6. この世界の(さらにいくつもの)片隅に
  7. 半世界
  8. 宮本から君へ
  9. 運び屋
  10. スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け
  11. ジョーカー

 

ケン・ローチの社会への怒りとユーモアに打ちのめされ、タル・ベーラの自由に圧倒され、ローマやワンス、片隅、反世界のキャラクター達の実在性に納得した。

 

裸で汁を出すだけの簡単なお仕事です。

f:id:dptz:20191130154440j:plain

今年も参加した48時間映画祭。引いたジャンルは「コメディ」、全力で笑わせに行くにはスキルが足りないので脱いでもらうしかない・・・!スタッフ・キャストにエース級を揃えながらこんなにくだらないもの全力でやれて光栄です。受賞結果は

  • 助演女優賞ノミネート(AV女優役つかさ)
  • 助演男優賞をグループ(!)でノミネート(汁男優)
  • 衣装&ヘアメイク賞受賞(裸にパンツ一丁、ひとり500円)

というギャグみたいな結果でいかにもうちの映画にふさわしい。来年も頑張ります。チームに感謝!

www.youtube.com

 

巨匠たちとのお仕事

青山真治監督・・・阪本順治監督・・・原一男監督・・・

ありがたいことに、今年は憧れの巨匠監督達とお仕事させてもらう機会がありました。作品の出来はまだ分かりませんが、ひとつだけ言えるのは皆、いい人。度を越えたいい人が多く、見習うところしかありませんでした。

 

R.I.P.

小池御大の死はこたえました。幼少から作品に接しており、物語的な影響大。弟子も多数。毀誉褒貶ある人だったらしいですが、死の直前までツイートする作家魂。ありがとうございました。

 

 

 

来年も粛々と映画を作ります。プロデューサーというものには頼らない。と、いうか、他人に頼って映画を作るなんてことはもうしない。

裸の男たちを撮るだけの簡単な48時間です。その③完結編

 

#48hfp #裸汁

裸の男たちを撮るだけの簡単な48時間です。その① - FilmMaker Ishikawa Shingo

裸の男たちを撮るだけの簡単な48時間です。その② - FilmMaker Ishikawa Shingo

 

映画をつくるのは楽じゃないけど楽しいよというメイキングの完結編です。またしても長いです。どうぞ!

f:id:dptz:20191130154440j:plain

11/30(土)

15:00~

渋滞の上、道を間違えた。現場に着いた頃には陽が傾いている。あと1時間しかない。

15:10~

撮影しようと思っていた場所での撮影NGが出た。過去最大にテンパった。あと50分。

15:20~

シーン3。バタバタで陽がないなか、ロケ地も急遽変更して、柳生はる奈さんと宮本晴樹さんのシーンを撮った。ワンカット。スタッフサイドの慌てぶりが俳優サイドに伝わって、慌ただしく混乱している様子がよく出ている。シーン2の芝居とつながっていないがなっ!やり直したい。人生やり直したい。撮り直したい。雑に撮ってる感満載やがな・・・

15:40~

あと20分でタイムリミットなので助監督と相談して、シーン5と7をくっつけて一連で撮ることにした。ハルさんは必死に光がある場所を探す。「ここでやろう」えっ、ここ?太陽光があたっているというだけで選んでませんか? ドラマ的に必然性があります? とは思ったものの文句を言ったり別の場所を探す時間もない。ここでやろう。過去最大の速さで脳みそが回転し、芝居の位置と動きを決める。あれがあーなってこーなって。この間わずか1秒。で、撮った。ハルさん独自のヘンテコな絵だ。あとで観たらミニマルでけっこう面白い絵だった。さすがに表情が分からなすぎるのでヨリも撮っておいた。パニック感が出ている。つかささんはマイペースな女優という感じも出ている。よしオッケー。

15:50~

あと10分ですべてが終わる。ラストシーンを撮るか、エンドロールを撮るか。エンドロールを撮ろう。エンドロールの並木道は土手の表側で、太陽がよく当たっている。紅葉に陽が当たってキラキラ輝いている。そこに、パンツ1丁の男たち4人がスローモーションでカメラに向かってズンズン歩いてくる。アルマゲドン・ショットと僕は呼んでいる。西部劇とか昔の刑事ドラマとか香港ノワールなんかでよく見るあのショットだ。日の当たらないところで生きてきた男たちが、胸を張って歩くんだ。感動的だろ。パンツ一丁だけど。

15:55~

エンドロール用の主演4人のクロースアップを撮る。ここまで我慢してきたサイズだ。思い切ってぶちまけてもらう。笑いをこらえる方が大変だった。イキ声にもそれぞれの人生が宿って面白いんですね。小坂氏のイキ声はデカすぎて、川の対岸の街にも響き渡った。録音の小牧氏も滅多にないことなのだが音が割れていた。あのイキ声は多分多摩川あたりまで届いていただろう。

16:00~

ひとしきり笑ったあとスチル撮影。これも爆笑。全員、マジなキメ顔をしている。パンツ一丁のくせに。

16:05~

太陽は沈んだ。ハイライトはない。が、まだ撮れる。マジックアワー到来だ。っていうか撮るしかない。ラストシーンの撮影だ。泉光典さんの出番がまだなのだ。でも現場が決まっていない。走り回る。

16:10~

昨日のロケハンの前、5日くらい前に来て目星をつけていた場所でラストシーンをやることにする。水辺だ。僕の映画は水辺がよく出てくる。水辺はこの世とあの世の境界なのだ。泉光典さんの役は、半分水に浸かっている。半分、あっち行っちゃった人なのだ。現場ほっぽって、勝手にあっち行ってんじゃねえ!というのが汁男優4人の怒りなのだ。


これには元になった体験がある。学生時代、同級生の映画に出演することになった。まだ豊洲が開発中だった頃だ。今の豊洲市場あたりだろうか。僕の役はよくわからない理由で海に飛び込み、溺れる、という役だった。よくわからないまま一生懸命飛び込んで、泳いで、溺れた。そこの海水は臭く、ヌメヌメしていた。数日、気分が悪かった。海水が染み込んだ服は重く、ほんとうに溺れそうになった。ヤバイ。そこでふとカメラを見ると、友人は空の方向にカメラを向けている。おい、こら、俺を撮らんかい!


ま、そんな経験があるので、水辺での撮影が俳優部に多大な負担をかけるのを身をもって知っている。雅氏が橋野氏に突き飛ばされるのも、足がちょっと水に着くぐらいでいいか。なんて思っていた。そしたら雅氏、全身で飛び込んで行きましたね。商業作品だと、水辺で撮影する場合、安全性を助監督や制作部が確保してから俳優部が入るものなのだが、雅氏、全身ずぶ濡れ。ありがたい。思わずカットかかった後に拍手。


その後、泉氏のカット。ま、最後の最後に出てくるだけあって、持っていく。台詞はシナリオから変えた。木島氏がとてもいいセリフを考えてくれたのだ。うまくはまってくれた。

 

16:30~

もうマジックアワーも終わろうとしている。僕の望みは、キャスト全員集合のグループショット。これにはハルさんと照明部が大反対。シーン2からの流れから言うと別場所だし、光もまるで違うから。


ゴッドファーザー』などの編集をやったウォルター・マーチは自身の著書で、理想的なカットのあり方についてこう書いている。


1.感情 51%
2.ストーリー 23%
3.リズム 10%
4.視線 7%
5. スクリーンの二次元性 5%
6. 三次元空間の継続性 4%

 

撮影・照明部が言っている「光がつながらない」と言うのはマーチに言わせると4%しか問題ではないのだ。51%は感情(エモーション)、23%はストーリーなのだ。必要なカットがない方が問題なのだ。これはつまり、監督の撮りたいものを撮らせた方が経済効率が良い、と言うことも意味している。現場では撮影監督が言うことはかなり重みがある。が、編集現場に行くと4%しか重みがない。約8割は、ストーリーとエモーションなのだ。ストーリーとエモーションを伝えるためのカットは、たとえ光(三次元空間の継続性)が犠牲になっても撮るべきなのだ。


上記のようなことを頭の中に浮かべ、1分くらいにまとめて説得しようと思ったがやめた。ご好意で参加してくださった技術部に、ノーギャラの映画で偉そうに講釈たれるべきではない。プロデューサーがいたとしてそういう判断になっただろう。僕は巨匠ではない。ペコペコ系の監督なのですぐ折れる。


そもそも太陽がなくなって必要なカットが撮れなかった、と言うのは編集部にとっては日常茶飯事なことなのだ。僕はあまり優秀な編集マンではないけれど、今も年収の半分以上は編集仕事だし、15年やっているのでそれなりにいろんな経験値がたまっている。太陽がなくなって必要なカットが撮れていない場合の対処法も150パターン持っている。今回はどれにしようかな。


現場では橋野さんのクローズアップで締めることにした。橋野さん、顔芸がすごい。「もっとやっていいですか」なんて聞いてくるものだから「もっともっとやっていいんだ」と返す。こちとらハサミを持っているんだ。というか光の継続性にこだわるのなら、目線の継続性にもこだわって欲しい。光は4%、視線は7%だ。クローズアップだともっと高まるんじゃないか。目線が合っとらんのよ。大事な大事なラストで。恨み節を言ってもしょうがない。立ち位置をちゃんと決めず、編集のことを考えずカメラマン主導で一枚絵だけを追い求めた結果だ。つまり監督の責任やからね。


ま、視線の違いよりも橋野さんの怒りでマスキングされて問題なく進行すると思う。オッケーイ。川の撮影は以上。中野の我が家に戻る。

 

17:00~

バラして移動。

17:10~

あああ!!集合写真撮り忘れた・・・

17:30~

帰りの車内で眠りに落ちた。昨日の10時から起きているわけだから、31時間ぶりの睡眠。多分10分にも満たないわずかな眠りであったが、貴重な眠りだった。スッキリしまくって、よし、皆で世界の平和を守ろう!という気分になった。だけど地獄の蓋はまだ開いたばかりであった。

 

18:00~

中野の自宅に帰り、シーン1のAV撮影の画面撮り。そういえばカラミの演出というのははじめてだ。勝手がわからないので段取りとこうなってほしいという「結果」をとにかく伝える。つかささんは随分付き合いが深くなったんであんまり恥ずかしいとかはない。助監督たちは擬似精液をスポイトに入れたり注射に入れたり色々忙しい。


1テイク目を撮影する。う〜む。めずらしくハルさんが芝居に対して、俳優に意見を言う。本当に珍しいのだ。10年一緒にやってきて初めてじゃないか? ハルさんの意見は要約すると「今のつかさの芝居ではAV女優に見えない」だ。世の男どもはAV女優という存在に散々お世話になっている。それこそガキの頃からオッサンになっても。女とは何か。性とは何か。エロとは。おっぱいは宇宙か。愛とは何か。皆アダルトビデオの画面ごしに学び、成長してきたのである。それだけにAV女優というものに対する強固な「イメージ」があるのだ。ハルさんとAVについて話したことは記憶にないが、見ていないはずはない。多分好きだ。僕も、大好きである。ハルさんは僕が言わなければいけないことを代弁してくれたのかもしれない。じゃあ、どうしよう。


まず、相手役を呼ぶことにした。雅くんに再登場願った。で、段取りを説明するのはやめた。ほんとうにセックスをしている体裁でやってくれ。で、互いに熱量を高めて、イキたい時にイってくれ。ある意味、演出を放り投げて役者に任せたのだ。雅くんがなかなかのエスっけを見せてくれてとてもエロいものになりました。ハルさんも納得の表情でした。オッケイ。

 

19:00~

最後の撮影。内容は明かせないが泉光典さんである。なんというか、世にもおぞましい映像が撮れた。15年も付き合いのあるエース俳優さんにこんな仕打ちをしていいのか。まあ、泉だからこんな役オッケーしてくれたのか。演出部は演出部で、白身が足りない、と片栗粉を混ぜてたり創意工夫をしていたらしい。演出してんな〜。

 

19:30~

クランクアップ。一息つく間もなく、編集部・塩谷氏がやってきて編集場所を作れと要求する。まだ人の汗と体温と栗の匂いのする撮影現場の和室の机に編集環境をセッティングする。撮影済みデータをコピーする。

 

20:00~

泉さんを洗面所に案内する。何入ってんのコレ?片栗粉です。ふっざけんなよ!笑顔で笑いあった。じつは泉さんは怒っていたのかもしれないが、撮っちまえばこっちのもんだ。

 

20:30~

皆着替えたり、機材バラしたり。どこか適当なところで打ち上げしていてくれとお願いする。もはや僕には打ち上げ場所を提案するような脳の容量が残っていない。みんなに感謝するフリをしながら、とっとと帰ってくんないかななどと思っているのだ。帰ってくれないと掃除できないからね。うちはシェアハウスなんでリビングとかの共用部分は綺麗にしておきたいのですよ。ほぼ全員が打ち上げに行くようだ。セカンド助監督としてついてくれた森岡怜奈ちゃんだけは疲れたので帰ると言う。彼女は僕の大学の直接の後輩だ。女のコに擬似精液をもっとガンガン飛ばせ!無茶苦茶なことをやらせちゃったなあ。昼飯も夜飯も抜きだったので手にそっと2億円を握らせて送った。ありがとうございました。

 

20:50~

編集場所を覗く。絵と音のシンクロ作業をしていたがほとんど終わっていた。は、早い。

 

21:00~

皆打ち上げ場所に行ったのでリビングの整理をしたり掃除したり洗濯したりした。現場や支度場をキッチリバラしてからでないと落ち着いて次の仕事にうつれないからね。あと演出部さん、キッチンの洗った食器置く所に擬似精液と注射置くのはやめてくんねえかな。

 

21:20~

編集場所を覗く。塩谷氏、もう荒編集を始めていた。朝までにラフ・カットを作ってカラコレ用にするのと音楽の原さんに送りたいと思っていたがこれだけだともっと早くに送れるかもしれない。しばらく塩谷氏にまかせよう。

21:40~

3年ぶりくらいに風呂に入ったような気がする最高。

 

21:45~

まだ風呂に入っている。幸せ。富士山の山小屋で働いていたことがある。標高3000メートル地点なので水がない。2ヶ月間風呂に入れない。仕事が終わって下山して温泉に入った時の感動たるや。スタッフキャストは打ち上げをしていて、編集部は編集している。監督はのびのびと湯船につかっている。王侯貴族か。

 

21:50~

風呂から上がって体重を量ったら、3キロ痩せていた。「48時間映画祭ダイエット」を皆に提案していこうと思う。

 

22:00~

打ち上げ会場を寝間着姿でひやかしに行く。酒は飲まない。48時間以内は飲まない、と塩谷氏と固く誓い合ったのだ。提出した時の美酒を楽しみに頑張るのだ。ウーロン茶で乾杯し、スタッフキャストに感謝の意を伝える。どれだけ言っても尽くせぬ感謝である。だって、ノーギャラだぜ……。おいら、こんな過酷な現場はお金積まれてもあまりやりたくないぜ。そんでさ……出来た映画が『裸で汁を出すだけの簡単なお仕事です』だよ!?

 

23:00~

打ち上げ会場に22億円ほど置いて家に戻った。塩谷氏、仕事が早い。9分のラフカットがもうできてた。観る。面白い。く、くだらない……。テンポや使うカットが違う、とか色々意見はあるがまあ面白かった。立会い編集をしてちょっと直す。

23:50~

ラフカットができた。尺は8分20秒くらい。まあ、すぐ詰めれる時間だ。書き出して音楽の原夕輝さんに送る。今夜はこれくらいにしましょう。塩谷氏、今晩は我が家に泊まる予定だったので、風呂場を案内する。ちょっとコンビニ行ってきますというので何かと思ったらビール買うんだって。「48時間飲まないんじゃなかったんですか!」「飲みませんよ。ビールは入眠用です」「ビールは酒じゃないから運転しても大丈夫、って言う田舎のオッサンか」

24:20~

泥のように眠った。

 

12/1(日)

 

3:30~

死んだように眠ったはずが蘇ってしまった。まだ緊張状態にあるからだろう。眠りが浅い。塩谷氏はまだ寝ているだろう。さて、何しよう。

4:00~

近所のオリジン弁当で野菜炒め弁当と豚汁を食べる。まともなものを食うのは何日ぶりだろう。

4:30~

作業再開は9時からと塩谷氏には言ってあったので、4時間半も空いてしまった。あの過酷な48時間映画祭でこんな暇があるなんて。そういえば昨年は自分で、脚本書いて、編集して、音楽つくったんだった。それに比べたら楽ちんだ。全員プロを呼んでいるからね。ウッシッシ。

5:00~

タイトルデザインを考える。近所のセブンイレブンに行ってタウンワークをもらってくる。求人情報誌のデザインを参考にするのだ。勢いでバババと撮ったスチルも、面白いのがいっぱいある。

6:00~

業界初!汁男優専門派遣会社・ジュースアクターズ株式会社 というニセ会社の募集要項、という体裁でデザイン作業を進めて行った。イラストレーターのファイルで作っておけば、映像ソフトに取り込んで加工するのも楽だ。ジュースアクターズ(Juice Actors)はこの映画の英題だ。ジュースアクターで「汁男優」的な意味になるらしい。チラシデザインがある程度できた。プリントする。

7:00~

風呂に入り、洗濯をする。なるべく映画の制作中も、こういう日常的な行為を絶やさないようにしたいものですね。映画づくりは何も特別なものじゃない。料理洗濯風呂掃除映画。撮影に入ると、買い物も、映画を観に行くことも、家族と過ごすことも、ゆっくり風呂に入ることも何もできなくなる。そう先輩からは教わった。そう、先輩は実践している。毎日車で寝る、家に帰って風呂に入ってすぐ出発。なんて当たり前。


はっきり言って、間違っている。40にも50にもなろう大人がこんな働き方をしていて続くはずがない。後輩にこんなライフスタイルを強いるなんて、自分で自分の首を絞めているだけだ。本当に自分の仕事を愛していて、映画作りを天職だと思っているのならこんな働き方は今すぐやめるべきだ。続かないから。新人だってなかなか入ってこない。

こういう長時間労働に陥るのを防ぐ方法がひとつある。時給制にするのだ。たぶん、予算は2〜3倍に膨れ上がるだろう。年間800本公開されているという邦画も半分から1/3に減るだろう。


ま、実践するプロデューサーはほぼいないだろう。映画作りを愛しているプロデューサーって実はあんまりいないと思う。いや、愛しているって言うよ。恋人の前では。それって詐欺師の手法やけどね。


プロデューサーは詐欺師です。プロデューサーの仕事の本質は詐欺なんです。映画は形あるものじゃない。手にとってながめられるものじゃない。まだ作ってもいないものに対してお金をもらって作るんだから、その口調は嘘と誇張と自己顕示欲が混じる。だからプロデューサーっていうのは誠実でないといけない。連絡がマメでレスが早い人の方が誠実に思われやすい。


詳細は避けるが、今年だけで僕は2人のプロデューサーに騙された。プロデューサーを名乗る人間全員を憎み、呪い殺したかった。ま、プロデューサーと言っても独立系の人間と大資本系の人間がいて、前者は特に気をつけないといけない。詐欺師レベルが高い。他人のお金でビジネスする人間と、自分の会社の資本でビジネスする人間との違いだ。前者の方が発言が適当なくせに責任を取らない人間が多い。資本の担保がないプロデューサーの発言は聞き流していい、とまで思っている。それでも誠実であればいいんだけどね。独立系の中にも誠実な方はいる。そういう方は、しっかりと断ってくれる。「うちは無理」。これは優しさなんです。


僕は自主映画を何本も作ってきて、プロデューサーがいたことはない。これからも自主映画ではプロデューサーは不要だと思っている。プロデューサーと監督を兼ねるのが一番理想の映画作りだから。監督主導の映画作りっていうこと。もちろん、誠実なプロデューサーとなら、仕事をしたい。プロデューサー側も、有能で客を呼べる監督と仕事がしたいだろうから、そこは、僕が頑張るしかないと思う。


いずれにせよ僕を騙したあの2人のプロデューサーには雷が落ちてきて感電死して欲しい。あんな様子じゃあ、いずれ仕事はなくなるだろうけどね……。彼らがあがいて僕以外の被害者をつくるのは業界的には大迷惑だから、とっと引退して雷に撃たれてください。

 

8:30~

編集部屋・兼・塩谷氏の寝室に入り、ゴミ捨てをする。ビールの空き缶が山のように積んである。一晩でこの量を飲んだのか……早く次の映画作りをしないと塩谷氏の内臓が持たないかもしれない。

9:00~

編集再開。あらためて観る。あれをこうしたい。これをああしたい。1の指示で10の結果が返ってくる。素晴らしい。アル中だけど最高の編集マンだ。

9:30~

ハル氏がパソコンとモニターを持ってやってくる。カラーグレーディングのための環境を整える。モニターを置き、色補正用のコントローラーを置き、MacにドライバとDaVinci Resolveをインストールする。今回撮影に使ったカメラはSonyのFS7 mark2にキャノンのレンズ。s-log3という撮影ガンマで撮った。これは後処理のために階調を多くキープする方法だ。つまり、ポストプロダクションで、カラーグレーディング(色補正)の作業が必須になることを意味する。


カメラマンの仕事はデジタルカメラの時代になって確実に増えた。フィルム時代はラボ(現像所)に任せてカメラマンは最後に確認するだけでよかったのだが、デジタルシネマカメラが普及してコストが下がり自由度が増えるとともにカメラマンがやらなければならない仕事の量も増えてしまった。

もっとも、ハル氏は本業がスチルカメラマンだ。スチルの方がデジタル化の波が早かった。撮影後の色補正も含めて自分の仕事だ、という感覚は強い。実際、ハルさんの色彩感覚は独特で、強烈だ。色が綺麗という評価は本当に多く、僕の映画の評価を底上げしてくれている。ありがたい。

10:00~

編集を追い込む。音楽はまだ届かない。が、原夕輝さんには「ワルツ」でよろしく。とだけは伝えてある。どんな曲が来るか分からないが、手持ちのライブラリーの中で映画音楽かつワルツの曲があったのでそれを映像にあて込んで見てみる。大爆笑。よし、いける。

11:00~

編集でも「ヨリ」のショットをなるべく排除していった。ヨリはここぞというところでしか使う必要はない。編集は心理学だからね。長回しも積極的に使った。


編集点とは、「意味が終わる場所」だと考えている。退屈になったらカットを割る、というのとはちょっと違う。ショットには意味がある。ストーリーを伝えるもの、感情を運ぶもの、それ以外にも色々な意味を持たせられる。その意味が観客に伝達し終わった時が、そのショットの寿命である。めまぐるしい最近はやりの編集はどうも苦手だ。かと言ってかったるい編集も嫌いだ。ちょうどいい塩梅のところがある。その、人に伝えるのが厄介な感覚を、どうにか理論化したのが「意味が終わる場所が編集点」という理論だ。


編集というのは不思議なもんで、監督と編集マンが膝突きつけあってあーだこーだやっていると、2人の生理が揃って来るのだ。あ、ここでカットだな、っていうポイントが2人とも一緒になってくる。こうなってくるとあとは早い。……というわけにもいかないのが映画の恐ろしいところで。

 

12:00~

グレーディングが終わった。早い。映像を入れ込んで見てみる。いい色!特になおすところなし。前半の寒そうな色もいいし、エンドロールの金色に輝くショットの色もいい。「やりすぎかな」なんてハルさんが言うけどもバッチリです。

12:30~

そろそろ尺を出さなきゃいけない。48時間映画祭には尺の規定、エンドロールの規定、入れなきゃいけないテキストなど、色々ルールがある。毎年、ルールを破っているチームもいるようだけど、僕はルールは守った上で自由にやるのがいいと思っているのでルールはきっちり守る。


編集が詰まってくると逆説的に、編集ではどうしようもできない、芝居が気になってくるところが出てきて、頭を掻き毟り、なぜOKを出したんだクソッタレ監督が、と自分を呪うしかない。これは、俳優は悪くない。OK出した監督が悪い。編集と言うのは本質的には「余分なところを取り除く」作業なので、これはいらん、あれはいらん、ってやっていくしかない。尺を借り込む作業で、いろいろ芝居を切らざるを得ないところがある。尺を出す上で、自分自身で編集しているとなかなか判断できなかったりするんですよ。編集マンが冷静な目でこれはこう言う意図だからここは要らないでしょう、とかはっきり言ってくれると目が覚める。尺が出た。7分54秒。昨年の『ラジオスターの奇跡』は8分ギリギリだったので、6秒まきました。ピクチャーロック。原さんに映像送る。

 

13:00~

昼食。

13:30~

塩谷氏はエンドロールのテロップワークをヌチヌチいじくっている。ハルさんにはちょっと修正が出た絵の色補正を追加してもらった後、チラシ用の画像の色補正もしてもらう。おお、ええ色や。空の青と黄金色のスキントーンが気持ちいい対比。絵が高級なだけにバカバカしさがすごい。だって白いブリーフ姿のおっさんが4人、カメラ目線でキメ顔してるんだよ。

14:00~

グレーディング終わり、ハルさんが帰る。お疲れ様でした。ありがとうございました。……来年もやってくれるかな?

15:00~

石塚達也くんが車や機材を返却するため家に来る。完尺のでた映画を観てもらう。いや〜おもしろいですね。なんて言っていた。

15:30~

原さんから音楽が届く!早速タイムラインに乗せる。おお、高級感あるピアノの音。ちゃんとワルツだ。オープニングっぽい。おお、橋野氏がうらやましげなところで曲が入って、いい感じに恨めしげになっている。ちゃんと主人公が立ち上がった。キレるところにも曲が!いい。エンドロールの曲。爆笑。ちょっと音色がカタすぎるかな〜。全体的には最高でした。プ、プロの仕事や〜。すげ〜。塩谷さんと一緒に聞き惚れてました。

塩谷さん「高級感がすごい。深田晃司の映画みたい」「いや原さん、深田組やってますからね」「え、まじすか」マジなんです。『本気のしるし』めちゃめちゃ面白いんで是非に。原さんに絶賛のご連絡と、修正点を1点伝える。なんと原さん、効果音も作ってくれたそうです。射精の音。

 

16:00~

「射精の音」が届く。そもそも射精して音が鳴るわけあるかい!これは手塚治虫が発案したと言われる静寂の音「シーン」みたいな、哲学的な問題の音である。鳴るはずはないのだが、鳴ってないとなんかさみしい。シーン4の最後でコサカが殴りかかろうとしたら漏らしちゃう、って言う芝居があって、そこに音が必要ではあるのだ。原さんの作ってくれた音はちょっと機械っぽい音。アニメ的。惜しい!なんか違う。狭い部屋で、男ふたりで、射精音とはこうだ。バキュンだ!とかエロ漫画ではドピュ、だとか、いや違う。どっぴゅんだとか、バシュー!だとか頭のおかしい会話が繰り広げられていた。そんなさなかにAV女優カグヤ役のつかささんが入ってきたので僕らは顔を赤らめることしかできなかった。

16:20~

「射精の音」についての真剣な議論はまだ続いていた。どういうわけだかつかささんも参加していた。

16:30~

まだ「射精の音」についての議論は止むことはなく、夜は更け、やがて朝がきた。

16:45~

自分の効果音ライブラリーから「ぴよん」みたいな可愛い、テレビっぽい効果音があって、それを映像にあててみたら一番ハマったので採用した。原さんが作ってくれた射精音ももったいないので予告編に使用した。

17:00~

原さんから修正したエンドロールの曲がきた。そうそう、これこれ、温かみのある音色が欲しかったのよ。1注文すると10返ってくる。最高の作曲家ですな。射精の音まで作ってくれるし……おっさんたちが皆、童貞の中学生の頃にもどり、射精というのはこういう音のはずだ!って真剣に議論していた。素晴らしく輝いている。あほや。

18:00~

エンドロールも終わり、音も張った。全ての要素が出揃ったので、また通しで見る。つかささんはじめての鑑賞。どや? お、笑ってる。ラスト、爆笑している。安心、女の子でもウケるんだな。ま、つかささんがふつうの女の子かと言われるとだいぶ違うんだが……。僕は編集現場にいろんな人が来て見てもらって意見を聞くのが割とすきだ。意見を言う方も注意してもらえると嬉しいが。


今回、MAには出さないので塩谷さんのPremiere上で音のバランスを調整。そんなに複雑なことはしていないが、グッと見やすく、聴きやすくなったはず。では、完成!!!!!

18:30~

書き出しが終わり、USBメモリーにデータをコピーする。最後のデータチェック。よし。編集室をざっくり片付け、提出する資料などを持って、家を出た。

18:45~

中野ZEROへ向かう途中で、ビールを買った。データを提出したら飲むんだ。うへへ。

18:55~

中野駅前にイケメン撮影部の田邊氏がいた。「田邊まだ仲良し組」のチームリーダーだ。彼とは『鈴木家の嘘』の撮影現場で一緒に働いた仲だ。メンズノンノだかのモデルをやっていて、髪はアフロで笑いも取り、かつ無茶苦茶仕事ができるすごい後輩だ。多分、超、モテる。すべてを持っている。悔しいので田邊氏の提出用USBメモリーを粉々に破壊した。

19:00~

中野ZEROに着いた。「DEADMANS」の月足氏がいた。なんと5時に1番手で提出したという。彼とも古い仲だ。彼は照れることなくベタな作風を押せる作家で、仕事の幅も広く、正確で早い。かわいい嫁さんもいる。おれにはない、すべてを持っている。とりあえず授賞式には来れなくなるように足を折っておいた。

19:05~

「CNSS」の牛丸亮、加賀賢三、榎本桜、高橋一路あたりの連中がいた。もう飲んでやがる。余裕ぶっこきやがって。だが多勢に無勢。しかも喧嘩慣れしている連中が多い。しょうがない。ひとりづつトイレに呼び出して目潰しをした。今回の作品が遺作だな。

19:10~

ライバルをあらかた潰したので、安心してデータを提出する。昨年はスーパーギリギリで、提出時間になってもサブのデータがまだコピー中だった。なんか提出が認められてありがたく作品賞もらってFilmapaloozaまで行かせてもらった。今年は余裕で提出だな。受付のオネエちゃんをからかう余裕するある。USBメモリーの代わりに缶ビールを提出したら見事にスルーされた。無言でUSBメモリーを提出した。そしたらこう言われた。「書類が足りません」

19:30~

締め切り!今年は47エントリーがあって、45作が時間内に間に合ったそうだ。我々StoneRiverはデータは提出できたものの書類を書き忘れていた。泣きながら会場で書く。んで、乾杯。ああうまい。世界でいちばんうまいビールを飲んでいるのではないだろうか。

19:45~

皆の前でなんかひとこと言わなくちゃいけない局面。「今年は余裕があったんでチラシ作ってました」などとうっとおしいことを言って嫌われる。みなさまお疲れ様でした。

20:30~

一軒め酒場で打ち上げ。一軒めで終電まで飲む。最高だった。あとは作った映画がどう評価されるか。ただ、笑っていただければ幸いです。長い長い文章、最後までお読みいただきありがとうございました。なお、この文章はフィクションも多いですが、あらかた本当のことが書いてあります。

 

STONE RIVER 監督・石川真吾

 

 

 

短編映画『裸で汁を出すだけの簡単なお仕事です。』

12/15(日)14:30より上映

会場:なかのZERO 西館 小ホール

東京都中野区中野 2-9-7

48時間映画祭プレミア上映会

入場料1000円

 

出演/橋野純平・横須賀一巧・小坂竜士・長崎達也・柳生はる奈・宮本晴樹・雅マサキ・つかさ・泉光典

監督/石川真吾 | 撮影監督/川口晴彦 | 撮影助手/藤田恵美 | 録音/小牧将人 | 照明/堀口健・阿部陵亮 | 助監督/杉原涼太・森岡伶奈 | 制作/石塚達也 | 脚本/木島悠翔・石川真吾 | 編集/塩谷友幸 | 音楽/原 夕輝 | 8分 | コメディ | This film made for the 48 Hour Film Project 2019. |  ©︎2019 STONE RIVER

 

【ストーリー】

201X年、空前の人手不足により、AV業界に革命が起きた。汁男優専門派遣会社の誕生である。その期待の新人、岸島力(31)の初現場は河原での屋外プレイものであった。12月の寒風の中、パンツ一丁で震えただ待つ岸島。一方その頃、AV監督が行方不明になり現場は大混乱をきたしていた……

 

【予告編】


【予告】裸で汁を出すだけの簡単なお仕事です。/Tokyo 48hfp 2019