前回までの記事です
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part1 仲間集め編 - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part2 仲間集め編② - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part3 仲間集め編・完 - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の『Food 2.0』48時間メイキングPart4 そもそも48時間映画祭とは何か? - FilmMaker Ishikawa Shingo
いよいよ48時間での映画づくりがはじまる。ここから書くことはすべて事実である。
5/28(金)
14:00
起きる。どうせ寝れないことになるだろうとは思っていたので、たっぷり、寝た。
14:15
最強のスタッフ・キャストが集まったが、わたしがやりきれるかどうか分からない。不安だ。布団で震える。
14:40
家の写真を撮ってグループLINEに送る。ロケハン写真だ。うちが舞台になるかもしれないからね。(毎回使ってるな……。)
15:00
シャワーに入る。次、シャワーに入れるのはいつになるのだろう。
16:10
脚本の宮本晴樹さんとふたりきりで会う。
48の対策会という名目だが、雑談で終わる。
17:00
予約していた会議室に行く。気をきかせて全員分の飲み物を買って行ったら遅刻する。
17:10
会議室に集まってもらったのは、美術・定塚由里香、免出知之 、アライジン、児玉アメリア彩、宮本晴樹、横須賀一巧、成海花音(敬称略)。こ、濃ゆいメンツだ……。免出、アライは初対面。いいやつだった。
17:20
わがチームStone Riverが48時間映画祭をやる社会的意義を蕩々と語ろうと思ったが、雑談で終わる。
17:45
わたし1人だけが抜けて麹町の東京ビジュアルアーツへ。18時からキックオフイベントがはじまるのだ。
17:50
会場前にいたのは「境界カメラ」チームの、井川耕太郎監督とポリスくん!ポリスくんは前回の『裸汁』でわれわれのスタッフだった男だ。背信行為許すまじ。脳天を叩き割った。井川監督は先輩だが、こんな強力なライバルを野放しにしておいていいわけがない。映画監督の命である喉を切り裂き、ついでにマウスも握れないように右手の腱を切っておいた。よし。
17:55
緊張していたので、自動販売機でコーラとポテトチップスを買った。ストレスには糖質だね!
18:00
キックオフ会場に入る。なんか……暗い。会話がない。そもそも人数が少ない。運営スタッフは知った人が何人かいるが、参加チーム側に知った人がいない。大丈夫か、今年。
18:05
今年は新型コロナウイルス対策のせいでキックオフイベントは代表者1名のみ入室だ。そのせいで、盛り上がりに欠けるのだろう。前回(2019)まで、わたしもよそのチームも、仲間を10人くらい引き連れて、ゲハゲハ笑いながら、なんなら酒を飲みながらゴキゲンにパーティのスタートを楽しんでいたものだ。人が多いとそれだけアサシンの仕事もやりやすく、知った役者やフィルムメーカーを血祭りにあげていたものだが、今年はやりづらい。ちっ。
18:10
いちばん奥の席に座る。隣に座ってきたイケメンの優男が声をかけてきた。お、お、お、お前は鴻森くんじゃないか!2018年の48時間映画祭でわれわれのチームの助監督をやってくれた男だ。またしても裏切り者が!憎っくきCNSSじゃなくcnssという名前でエントリーしたようだ。「正々堂々と作品で勝負しましょう」とかなんとか言ってきたので、毒針を刺しておいた。キックオフイベントがちょうど終わる頃に効いてくるはずだ。くたばれ!
18:15
キックオフイベントはじまる。森プロデューサーの挨拶。今年のエントリーはわずか29チーム。前回は49チームだった。エントリーが少ないということはチャンスなんだよ!と鼓舞された。
このキックオフイベントはシナリオ会議しているチームも配信映像で見ているはず。未来だねえ。
18:20
ジャンルくじ、始まる。
cnssチームは「スーパーヒーロー」と「ミュージカル」を引いた。うへへ、ざまあみろ。ハズレだ。鴻森君はミュージカルを「待ってました」とか強がりを言ってた。失敗することを祈る。
18:30
うちのチームのジャンルくじを引く。「何が出ても出たとこ勝負」とか余裕ブッこいていたが心の中では楽なジャンルこい、と祈っていた。
「ホラー」!!
と
「食べ物」!!
実はこの時、「あ、いける」と思っていた。なぜならホラー×食べ物っていうのは2作作ったことがあるからだ。鉄クズを食べる女子高生を描いた『カササギの食卓』と、相手の嫌いな物を食べるビデオテープを送る女を描いた『般若のフレーム』という映画だ。もし興味あればご覧ください。
【精神異常ドラマ】カササギの食卓【異食症】 - YouTube
【短編ホラー映画】般若のフレーム - YouTube
成功しているかはともかく、「挑戦したことのあったジャンル」というのはかなり安心材料だ。それに、最近はあまり追っかけていなかったが、ホラー映画は大好物だ。
18:40
「境界カメラ」チームのリーダー、有馬顕氏のくじ引きだ。有馬さんはわたしのもうひとりの映画の師匠だ。といっても、いまは映画監督は事実上引退して、社長兼プロデューサーとして、飲食店や映像制作、配信を通してパーティを仕掛けている。
どんなクソみたいな人生でも、「その人に出会わなければ今の自分はない」と思える人は必ずいる。わたしにとってはそれは間違いなく有馬さんだ。映画作りだけでなく、人との付き合い方、酒の飲み方、パーティのやり方、中島らもさん、レゲエ音楽、人生観、友だちとの別れ方、世界は美しいんだぜ、って照れずに言うこと。ありとあらゆることを学んだ。
かつ、いっぱい仕事をくれる。
しかし今年に入って、まったく仕事を依頼してくれない。こちらはいつだって仕事を待っているのだ。その上、48時間映画祭ではライバルとして立ちはだかった。畜生。親を殺すような気分で有馬さんの目を潰しておいた。今までありがとうございました。
前回、このコンペでは失敗しにきた、と書いたが、スマン、ありゃウソだった。
やるからには勝つ。
「境界カメラ」チームのくじ引きは「アクション/アドベンチャー」か「リベンジ」だ。作ったことないらしい。良し良し。
「境界カメラ」はニコニコ動画で毎週金曜日に配信している番組で、株式会社エル・エーまわりのクリエイターやオカルト系のくせのある人たちが集っている。時々ショートムービーを作ったりもしていて、題材は当然、ホラーだ。
ch.nicovideo.jp
今回、彼らが得意とするところのホラーをわたしのチームがもらうことになった。こ、これは……負けられねえ。
18:45
お題発表。
職業「治験モニター」ですって。あれはボランティアであり、お金はもらえるけど、謝礼であって報酬ではない。だから治験モニターというのは職業ではないのだが。まあ、職業/属性だから。
職業/属性にストーリーが引っ張られることは多い。が、今回は強烈だと思った。2018年は「ラジオパーソナリティ」、2019年は「派遣社員」だった。「治験モニター」が要請するストーリーはすぐ見えた。どう裏をかくかだと思った。
わたしは治験についてはちょっと詳しい。というか一時期、結構な頻度でやっていた。詳しさが有利になることも、足を引っ張ることもあるなと思った。フィクションに飛躍させるのに事実に縛られる可能性もある。前回、「汁男優の派遣会社」なんてのは誰もやったことがないからこそバカバカしい発想が生まれた。
19:00
48時間がスタート。一瞬のように長く、永遠のように短い2days。この時はこんなに眠れないとは思いもしなかった……
続く。
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不安と眠気の『Food 2.0』48時間メイキングPart4 そもそも48時間映画祭とは何か? - FilmMaker Ishikawa Shingo
ストーリー/行方不明になった父を探す女子高生。ようやくたどり着いた研究所で食べさせられたのは、世界を救うおにぎり。
出演/成海花音 横須賀一巧 免出知之 アライジン 柳生はる奈 美南宏樹 SHINYA 児玉アメリア彩
監督/石川真吾 脚本/宮本晴樹・石川真吾 撮影監督/ 江口裕祐 撮影助手/佐藤 遊・船場 幸平 録音/飯島花衣
美術/定塚由里香 編集/石川真吾 音楽/原 夕輝 8分/ホラー ©2021 STONE RIVER
This film was made for the 48 Hour Film Project.
www.48hourfilm.com
チーム名【STONE RIVER】
作品名『Food 2.0』
#48時間映画祭
#48HFP
#Food2・0
48hourfilm.com/tokyo/