お金がない頃の悩みに戻りてえよ。

おれの悩みの98パーセントは金で解決できる。消去法で計算したらそうなった。事実、ギャラが入ってからのここ数日というもの、欲しかったCDや本やDVDを買いあさり、豪華な食事をしスーパー銭湯に入りナニをしたら悩みは吹っ飛んだ。なにが悩みだったのかすら思い出せない。
いやお金があっても悩みはつきないでしょとひとは言う。しかし、貧乏人と金持ちの悩みはまったく別物である。貧乏人の悩みは些末で底の浅い、金で解決のできる悩みである。金持ちの悩みこそ本質的、哲学的である。つまり貧乏人であるところのおれの悩みなぞ、悩みではないのである。よってこういうラディカルな結論に至る。「金持ちじゃなければ、悩めない」。ここでいう金持ちの定義とは、内田樹氏による「金の事で悩まされない人」のことである。よって、金の事で悩まされない人でなければ、悩むことはできない。ここ数日の小金持ちぶりですっかり悩みが消えたおれは、金持ちなのか貧乏人なのかわからないが、過去のおれに向かってこう言ってやる。「お金がない頃の悩みに戻りてえよ。」