いまそこにある湿度
人間の体は6割が水分である。
体重70kgの成人男性なら、42リットルもの水分を体内に蓄えていることになる。
クラゲは99%が水である。
人間の祖先は海に発生した原始生物だ。
我が家は1階にあるアパートである。
近くに善福寺川が流れ、庭もあり、湿気がたまりやすい環境だ。
それに加え、連日の台風と豪雨で湿度計が100%の数字を指し示すこともある。
うっかり換気もしないで外出すると、布団がカビることもある。
この前はリュックにカビが生えていた。
このカビ菌とやらはいったいどこから来るのか、不思議になったので調べてみた。
カビが発生しやすい場所と対策
【カビの発生要因】
家の中で最もカビが発生しやすい場所といえば「浴室」と「キッチン」。 ともに水(お湯)をよく使う場所です。 その他、湿気がこもりやすい「押入れ」や「下駄箱・洋服タンス」。 結露により水分が付着しやすい「窓サッシ」・「壁」など。 食べ物の豊富な「冷蔵庫」もカビの発生しやすいスポットです。
それらカビの発生スポットは「カビの発生要因」と密接な関係があります。
カビの3大発生要因は、
① 湿度
② 温度
③ 栄養源
3つすべての要因を絶つことは日本の気候風土では難しいことですが、3つの条件が揃ったとき、カビは爆発的に繁殖していきます。「湿度」は、日本の気候と昨今の建物の気密性などにより最も良好な状態にするのが難しい要因と言われています。 カビが活発に増殖する湿度は70%以上。 梅雨時は特に高湿度な状態が続きます。 湿度は60%以下に保つことがカビ発生を防ぐポイントですが、実際はカビの付着する材質が含む水分量が問題となってきます。 すなわち、部屋の湿度が低くても建材等に常に水分が含まれている状態だと高湿度の条件を満たすことになります。 換気を良くし、水分の付着をできるだけ避ける事がカビ対策として有効です。
「温度」は、20℃~30℃くらいがカビの好む条件ですが、0℃~50℃の範囲であれば基本的にカビは活動できます。 冷蔵庫内などの低温下でも繁殖のスピードが遅いだけでカビの活動には十分な温度であり、食べ物などの栄養源が豊富な分、カビの好む条件と言えるでしょう。
「栄養源」は、食品類が一番の栄養源となりますが、繊維や木材・ほこり等何でも栄養源になると考えた方が良いでしょう。 特に炭水化物やタンパク質・脂肪分などをカビは好み、食物の豊富なキッチン廻りはカビにとっては栄養の宝庫です。 また、浴室には体の垢・脂肪分や石鹸カスがカビの繁殖の原因となる栄養分です。 部屋の中の「汚れ」は上記の栄養源と言い換えることができ、汚れの除去イコール、カビの栄養源の除去とも言えるでしょう。 常に清潔にしておく事がカビ対策として有効です。
カビは真菌類に属する微生物の一種で、胞子は浮遊し、繁殖の条件が良い場所に付着したカビ胞子は菌糸を伸ばし成長し、別の胞子を実らせて増殖していきます。 日常の暮らしの中ではカビの存在自体を完全に撲滅するのは不可能であり、むしろ増殖させない方法がカビ対策と言えるでしょう。
上記「カビの3大発生要因」のうち一つでも条件が揃わなければカビは繁殖しませんが、「温度」についてカビの好む条件を排除する事は人が生活していく上では無理なので、その他の「湿度」、または「栄養源」の要因を絶つことが具体的なカビ対策となります。
カビが活発に活動する湿度は70%以上。
つまり、水分はカビを好む。
ぼくの地元である北陸は大陸からのでかい雲が大量の湿気を連れてくるので非常に湿度が高い。
関東に来て驚いたのは湿気取りマシンがあまりメジャーでないことだ。
むしろ加湿器のほうがメジャーだ。
関東はすごく喉が乾く。
平均湿度が低いのではないのだろうか。
都市化とともにエアコンの影響で湿度は下がる一方だ。
加湿器がすごく売れている。特に冬場の乾燥はすごい。
なぜこんなに湿度が低い都市になったのだろうか。
徳川家の治水が関係あると見た。
もともと関東平野は沼だった。
徳川家康が利根川の水路を制御して、「乾いた大地」に作り替えたことで、江戸幕府300年と現在の東京の基礎が作られたのだ。
そのへんの地形論は竹村公太郎氏の本に詳しい。
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日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】 (PHP文庫)
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人間は生まれた場所の湿度と温度で眠ることで、回復が早くなると「百獣の王」武井荘もラジオで言っていた。湿度はたしかにここにある。
カフェインの致死量を馬鹿にして人生を棒に振った人の話
コーヒーや緑茶、コーラや栄養ドリンクに入っている成分、カフェイン。化学式C8H10N4O2。
みんな大好き Caffein について調べてみました。 ちなみに僕はまだカフェインで人生を棒に振れるほど豊かな人生を送っておりません。
カフェインの作用
主な作用は、中枢神経を興奮させることによる覚醒作用及び強心作用、脂肪酸増加作用による呼吸量と熱発生作用による皮下脂肪燃焼効果、脳細動脈収縮作用、利尿作用などがある。医薬品にも使われ、眠気、倦怠感に効果があるが、副作用として不眠、めまいがあらわれることもある。
利尿作用があるため、コーヒー等カフェインを多く含む飲料は水分補給としての効果が薄い。
カフェインは一時的に頭痛を止める働きがある一方で、常用するとかえって頭痛が起こりやすくなる。これは、カフェインの脳血管収縮作用により頭痛が軽減されるためで、時間の経過とともにこの血管収縮作用が消えると反動による血管拡張により頭痛が生ずることがある。
一方、タバコは薬物代謝酵素CYP1Aを誘導するため、カフェインの代謝が促進される。そのため、喫煙者はコーヒー等で眠け覚まし目的にカフェインを摂取しても、非喫煙者よりその効果は低い。また、カフェインは最終的に尿酸となり体内から排泄されるため、代謝が促進されると、それだけ尿酸の生産量も促進されることになる。また、カフェインには利尿作用もあるため、体内水分量が不足し、尿酸が析出しやすくなる。尿酸は痛風の原因物質である。
(Wikipedia より)
カフェインの致死量
カフェイン過剰摂取の危険ライン知っていますか?体重別危険ラインまとめ : アマニタムスカリア@ネットニュース
体重75Kgの僕の致死量は15.00g。ドリップコーヒーはカフェインがだいたい100mg。15.00gは15,000mgなので、ドリップコーヒー150杯ぶん。飲めるかいっ!しかし、1時間以内の急性症状は0.49g(490mg)なのでドリップコーヒーは4.9杯程度。編集作業中なんて1日にコーヒーを7,8杯飲むから、急性症状が出たこともあるのかもしれない。頭痛と動悸がひどかった記憶がある。20代の半ばに2日徹夜してレッドブルを5本飲んだときは目がギンギンに冴えて眠れなくなったもんなあ。
カフェインの急性症状
精神障害に分類されるカフェイン中毒(intoxication)について記す。
250mg/day以上の摂取では、焦燥感、神経過敏、興奮、不眠、顔面紅潮、悪心、頻尿、頻脈などの症状が現れることがある。この量はDSM-IV-TRにおけるカフェイン中毒の診断基準Aであり、これらの症状を5つ以上満たすのが診断基準Bである。しかしさらに診断基準Cの著しい苦痛や社会や職業的な機能の障害があるという、重症な場合にカフェイン中毒である。世界保健機関による『ICD-10 第5章:精神と行動の障害』ではF15.0カフェインや他の精神刺激薬による急性中毒で、診断基準はない。
症状
次に、毒性作用による中毒(Poisoning)について記す。
一般的な成人では、1時間以内に 6.5 mg/kg 以上のカフェインを摂取した場合は約半数が、3時間以内に 17 mg/kg 以上のカフェインを摂取した場合はすべての場合に急性症状を発症する。後者の場合、重症になる確率が高い。神経圧迫による視覚異常や聴覚異常は確認されている。
カフェインが体内から分解、代謝され、効力を失えば症状は改善する。カフェインを分解する酵素(CYP1A2やモノアミン酸化酵素)を阻害する薬物などと併用した場合、カフェインの代謝が遅れ、症状が長引いたり悪化することがある。また、200 mg/kg 以上摂取した場合は最悪、死に至る可能性がある。
通常死亡には至らない。稀に死亡が報道されている。
photo from Drugs Under A Microscope - WebBurgr.com
若者は生き急ぐものだが、カフェインで死ぬやつはいないだろうと思って調べてみたら、いた。アメリカ人の女の子だ。
カフェイン過剰摂取で少女死亡、遺族が栄養飲料製造会社を提訴 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
原告の代理人によると2011年12月、アナイス・フルニエ(Anais Fournier)さんは死亡するまでの24時間に700ミリリットル入りのモンスターエナジーを2本摂取しており、これに含まれるカフェインの量は480ミリグラムだったという。缶入りコカコーラ(350ミリリットル)14缶分のカフェイン量に相当する。また検視結果では、死亡の原因は「カフェインの毒性による心臓の不整脈」とされた。
カフェインの致死量を馬鹿にして人生を棒に振った女の子がいた。 若さというのは愚かなものだ。もう一例ある。
米食品医薬品局(FDA)は16日、純粋なカフェイン粉末の摂取を避けるよう消費者に促した。若者2人の死亡に関連している強力な物質だという。(略)
5月には、オハイオ州の高校生ローガン・スタイナーさん(18)がカフェイン粉末を摂取した後、死亡した。両親が後でカフェイン粉末の小さな袋を見つけた。
ジョージア州のジェームズ・スウェットさん(24)は、純粋カフェインを摂取したあと、意識不明に陥り、死亡した。スウェットさんは、これを摂取すれば、エナジードリンクや炭酸飲料に含まれる糖分を回避できると考えていたという。
健康のために死んだやつ、美容のために死んだやつ、快楽のために死んだやつ。みんな馬鹿だねえ。 ドラッグは用法・用量を守って正しく使いましょう。
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町山智浩『<映画の見方>がわかる本』
今週のお題「人生に影響を与えた1冊」
町山智浩さんの『<映画の見方>がわかる本』-【2001年宇宙の旅】から【未知との遭遇】まで- は大学の映像学科3年生の頃に読んで、非常に影響を受けた本です。映画の見方だけでなく、映画の作り方、生き方まで教えてくれた本がこの本だったような気がします。
こんなに分かりやすい映画評論本はない!
例えば蓮實重彦の映画評論本は複雑なレトリックを駆使し、そもそもなかなか観ることができないような映画について【印象】で語るスタイルで、僕はどうにもついていけなかった。大学時代は映画評論家の村山匡一郎先生に映画史について教わったが、映画100年の蓄積を、映画を見はじめて3、4年の小僧が消化できるはずもなく、映画史もあやふやな理解のままだった。町山智浩のこの本の特異なところは、お勉強ではなくエンターテイメントとして読める映画評論本だというところだ。しかも、みんなが見ている(見やすい)映画を題材にして。
扱っている映画は1960〜1979のアメリカン・ニューシネマ
- 2001年宇宙の旅
- 俺たちに明日はない
- 卒業
- イージー・ライダー
- 猿の惑星
- フレンチ・コネクション
- ダーティ・ハリー
- 時計じかけのオレンジ
- 地獄の黙示録
- タクシードライバー
- ロッキー
- 未知との遭遇
名作、傑作ばかりであるが、解釈の分かれる映画も多い。特に『2001年宇宙の旅』は最初見た時サッパリ意味が分かんなかった。2度目も寝た。だが、町山智浩のこの本を読むと、『2001年〜』を見返したくなる。映画を見返すと、町山智浩の本を読みかえしたくなる。以下無限ループである。映画と評論の、幸福な関係がそこにはあった。
あんなに面白い『ダーティハリー』もキリスト教がわかるとさらに面白くなる
裁くのは俺だ
ユダヤ、キリスト、イスラム社会において、人間には人間を裁くことが禁じられている。唯一、神だけが裁きを下し、人の命を奪う権利を持つ。神=王の権利を「主権」と呼ぶ。ところがそれでは社会が混乱するので、王、もしくは国家だけが「主権」を代行できると考える。だから主権国家は人を処刑したり、他国と戦争することができる。また、国家の「法」とは神との契約書であり、司法の職員は神の代理人である。
ところが法律は人間が作ったものである以上、万能ではない。警官や裁判官もそうだ。自警主義(ヴィジランティズム)が浮上する。法の許しを得ずに正義を執行する個人を自警(ヴィジランティ)と呼ぶ。裁判官が不足した開拓時代の西武では先に挙げた首吊り刑事ロイ・ビーンなど、自警主義が横行した。スコルピオのように法が裁けぬ悪を裁くため、西武開拓時代からタイムスリップしてきた自警がハリーなのである。
『ダーティハリー』は小さい頃から親父がビデオで見ていたんで馴染みの深い映画なのだが、不思議な点もすごくいっぱいある。上下の運動が多発するのはなぜ?教会がなんでこんなに多く写るんだろう?とか、公園の頂上でハリーが十字架を見上げるのはなんなんだろう?何度も繰り替えし見て行くうちに溜まった疑問を、キリスト教や当時のアメリカの社会情勢に照らし合わせて、偏執狂的に資料をあたって書いてくれる。「死の天使ダーティハリー」という見出しも魅惑的だ。
『時計じかけのオレンジ』とは機械のように感情を統制されてしまった人間を意味する
高校1年生の頃に観てぶっ飛ばされたのがキューブリックの『時計じかけのオレンジ』だ。もの凄く刺激的!カッコいい!笑える!残虐だ!だけどよく分からない……。そもそもタイトルの意味がよくわからなかった。『映画の見方が分かる本』の表紙は本作の主人公、アレックスである。 『時計じかけのオレンジ』とはロンドンの下町言葉の言い回しで、何を考えているのか分からない変人を指すのだという。つまり、機械のように感情を統制されてしまった人間を意味するのだ。基本的なプロットすらバカな高校生だった僕は理解できていなかった。この映画は、欲望剥き出しの邪悪な少年が、国家による「ルドヴィゴ療法」治療の結果、何も抵抗できないロボットに改造されてしまうというストーリーだ。
ジーン・オスケル(映画評論家)「『時計じかけのオレンジ』の悪者は誰で、善い者は誰なんですか?」
キューブリック「そんなに単純に割り切れる話ではない。アレックスという凶悪な存在と、国家権力というそれよりはるかに凶悪な存在との比較でしかないからだ。私は『時計じかけのオレンジ』で問いかけを残している。選択できない問いを。人間の本性が邪悪だからといって、その自由意志を制限することが許されるのか? 自由意志のない人間を人間と呼ぶことができるのか?」
そしてニーチェの話になる。大学生のくせに哲学書なんていっさい読んでいなかったバカな大学生だった。町山智浩の本経由でニーチェを読むようになった。今も時折読む。難解だけどしびれるほどカッコいい言葉が乱舞している。「むずかしいけどカッコいい」とか「派手だがかみごたえがある」ものを僕は好むようだ。
「レイプとウルトラ暴力とベートーベンがオレの生きがい」
『時計じかけのオレンジ』のポスターに書かれた映画史に残る名コピーだが、これは、ニーチェが『権力への意志』で「生の喜び」の三要素として挙げた「性欲・残酷・陶酔」と見事に一致している。異性を求めること、他者を屈服させること、味覚・視覚・聴覚などで悦びを得ること、この三要素こそが人間の原初的な欲求であるとニーチェは言うが、これを激しく求めることは他人の生の侵害につながる。だから人間の社会は争いが絶えない。
だが、そんな「人間の生のカオス」をあるがままに祝福するのが芸術なのだ。芸術とは「人は(世界は)こうあるべきだ」と理想を押し付けることではない……。『2001年宇宙の旅』でキューブリックは人間の残酷な本性を「乗り越えるべきもの」として描いたが、残酷さがなければ猿は人間になれなかった。残酷さもまた人間のエネルギーの源なのだ。
そして、「若者文化」とは、この「性欲・残酷・陶酔」をセックス、バイオレンス、ロックンロールという形で商品化することだったのだ。
今回このエントリーを書くにあたって『映画の見方が分かる本』を読み返してみて、かなり自分は影響を受けているのだなあと再認識した。映画の見方だけでなく、映画の作り方においてもである。知らず知らずキューブリックのような、説明の少ないエンディングを好んで作るようになっていいった。そういう演出傾向も『2001年宇宙の旅』のナレーションを排したエピソードをこの本で知っていたからかもしれない。映画は意味を凝縮した曼荼羅である。映画には作家がいて、作家には意図がある。意図をインタビューや資料で掘り下げていくのが映画評論家の本来の仕事である。意味が読み取りにくいところや前提となる知識が必要な作品はしっかり解説してくれる。文体や印象、イデオロギーには左右されない、ジャーナリスティックな映画批評。アメリカ在住の町山智浩さんならではの映画への愛と一次資料への近さ。名著です。まだ未読なあなたはラッキーです。映画が何十倍も楽しくなりますよ。
映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)
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女優の小川仁美さんと再会する
2004年に撮った拙作『カササギの食卓』に出演していただいた小川仁美さんと数年ぶりに再会する。僕の映画に出てもらったのはもう11年も前のことになるのか!と驚愕する。小川さんには(学生の分際で)仕事を紹介してもらったり、イベントのお誘いを頂いたりかなりお世話になっている。新卒で入った会社に11年ずっと勤めながら「週末女優」を続けてらっしゃる。アルバイトをしながら役者を続けるというのは芸能の道の定番コースであるが小川さんはきちんと正社員をやりながら女優活動も平行しているにが凄い。彼女の人徳と人付き合いの良さのなせる技だなと思う。なによりも情熱とスタミナが凄い。息切れしない。
○日経ビジネスアソシエ2013年4月号インタビュー
「捨てる勇気を持つ人こそ、自由自在に活躍できる」
日経ビジネスアソシエ 2013年4月号 | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉:日経BPオールジャンルまとめ読みサイト
小川さんは「妖艶な女」の役をやりたいと熱望していたので、福井で撮れるシナリオを考えてみようかなと思った。バツ2の色気のある役なんかいいんじゃないかな(笑)
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『森のカフェ』榎本憲男監督作
論文が書けない哲学者が近所の森で出会った女は
12/12より公開される『森のカフェ』の試写を観に行ってきた。
笑った笑った。日本ではちとめずらしい「ロマンチック・コメディ」というジャンルの映画である。ロマンチック・コメディは別名スクリューボール・コメディとも言い、ハワード・ホークスの『赤ちゃん教育』やエルンスト・ルビッチの『街角 桃色の店』やビリー・ワイルダーの『アパートの鍵貸します』などが代表的な作品である。榎本氏の分析では以下のような特徴があるらしい。
スクリューボール・コメディの特徴
1 登場人物たちの社会的地位はリッチ、もしくは超リッチ。(主として1930年代まで)
2 基本的に女性上位。女が男をコケにする。男は女に翻弄される。
3 登場人物は、風変わりでアクが強い。
4 テンポは速い。どんどん進む。ドタバタ喜劇風な場合もある。
5 粋でセクシーなマシンガントーク。
6 恋愛や結婚をテーマにする。人間に対するやさしさと悪意の混じった微妙な観察眼。
ロマンチック・コメディの肝はキャラクターの掛け合わせであり『森のカフェ』は「神経質でおとなしい男&こわれキャラの美女」という組み合わせである。どちらの役もたいへんな演技力の要求されるキャラクターである。管勇毅さんも若井久美子さんも複雑な役を見事にこなしている。抱腹絶倒である。
ユーモアとコーヒーの香り漂うちょっと哲学的なコメディ
恋愛映画やラブコメ映画は数多いが、日本ではほぼ作られていないロマンチック・コメディというジャンルに挑戦し、かつ「哲学」を扱うというチャレンジングな企画である。自主映画ならではの映画である。そう『森のカフェ』は全額榎本憲男監督が出資した自主映画なのである。監督主導の映画作りをするには、現在の邦画界では自主映画を作るしかないというのが榎本監督の持論である。映画制作にかかるコストも桁違いに安くなってきているから可能になった。榎本監督は映画業界では30年のキャリアをお持ちの大ベテランである。劇場支配人、プロデューサー、シナリオライター、映画監督とキャリアを積み重ねてきた。「哲学的な」テーマを内包した映画はいっぱいあるが「哲学」そのものを扱った映画はなかなか無い。というか皆無ではないか?
僕は榎本監督過去2作の『見えないほどの遠くの空を』と『何かが壁を越えてくる』を編集を担当させてもらっている。今回の『森のカフェ』では編集に加え制作業務も担当させて頂いた。じつに幸福な映画作りであった。今日初めて完成した映画を拝見したのだが、堂々たる仕上がりになっていて、スタッフ冥利につきる。皆様にもぜひご覧頂きたいです。
石川真吾編集参加映画「森のカフェ」12月12日公開です。抱腹絶倒のコメディです。ぜひ。
榎本憲男 脚本・監督
出演:管勇毅
若井久美子
橋本一郎
伊波麻央
永井秀樹 志賀廣太郎 東亜優 安藤紘平
撮影:川口晴彦(PHOTOGRAPHER HAL)
録音:小牧将人
編集:石川真吾
美術:松永真帆
音楽:安田芙充央
©Norio Enomoto
<公式ウェブサイト>
映画 「森のカフェ」 2015年12月上映決定!
<予告編>
12/12よりヒューマントラストシネマ渋谷にて公開!大阪はシネ・リーブル梅田にて。以後順次全国公開です。
榎本監督のデビュー作のノベライズ本
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榎本監督の新作小説はサスペンス!早く読みたい。
- 作者: 榎本憲男
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レスポンシブルデザイン
スマホでの読みやすさを考慮し、レスポンシブルデザインつうのに移行中です。 見栄えがぽこぽこ変わってますがご了承を。
PFF2015『いさなとり』『幽霊アイドルこはる』『最前線物語』
PFFの歴史は日本映画の斜陽の歴史である
今日は第37回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)に行った。
PFFは自主映画の映画祭だ。もう37回もやっているのか。PFFの歴史は日本映画の斜陽化の歴史でもある。日本映画の黄金期を支えた撮影所が崩壊し、観客がテレビに流れていくなか、映画会社はエロとグロと暴力で映画館を賑わせたが、一般客は離れた。一般客が映画館から遠ざかってきた時代に「自費で」映画を作る連中が現れ出し、新人映画監督の登竜門状態となったのが初期PFFである。PFF出身の映画監督は数知れない。黒沢清、園子温、平野勝之、有馬顕、石井裕也、石井聰亙、佐藤信介……。斜陽化した映画業界は新人を育てることをやめ、自主映画界で名を成した者を商業映画に釣り上げる流れを作った。PFFの審査員は小説家、俳優、音楽家、映画監督、そして映画プロデューサーである。映画を作りたいがコネがない若者が業界の人間と接するチャンスを得るのが自主映画祭である。夢を追いたい若者と、新しい才能を発見したい業界人の需要と供給がマッチする場なのである。撮影所の崩壊は昔話となり(僕も当然リアルタイムでは知らない)映画学校が乱立するようになった。業界の新人も、PFF入選作家もたいていが映画学校出身である。僕もそうだし、先輩も後輩もたっくさんいる。彼らは「映画という夢」の放つ甘い香りに吸い寄せられる蛾である。蝶になれるのは一握りだ。PFFで上映される作品は、荒木ディレクターの好みなのか分からないが、辛辣なものが多くて、エンタメは数少ない。タコツボ化した自主映画界は、仲間うちで批判しあい、褒め合うサークルと化した。PFF以外も、映画祭が乱立した。それでも、ぼくのような自主映画をやっている人間からすれば、PFFほどありがたい映画祭もない。サポートも礼儀正しいし、抜群にお金と手間をかけて自主映画を応援してくれている。
『いさなとり』藤川史人監督作品
広島県三次市に2年住んでつくられたドキュメンタリーとドラマの中間のような映画である。物語の軸になるのは中学生たちの友情、鯨取り、祖母の死、母の再婚相手との確執である。
数週間ロケハンしただけではぜったい得られないであろう、風景の美しさが確かに刻まれていた。監督が2年も住んだだけあってロケーションや人物の選び方に説得力がある。祭り、花火、生と死と、鯨のいた街の歴史が描かれていく。ほかに似ている映画をちょっと思いつかない。藤川くんにしか撮れない退屈な映画だと思った。退屈というのは褒め言葉である。刺激に溢れた現代にあって、「退屈さ」を売りにできるのは貴重である。藤川くんは次はペルーに3年住んで映画をつくるらしい。凄い行動力だ。見習いたい。
『幽霊アイドルこはる』井坂優介監督作品
アイドル志望の自殺した女子高生が、幽霊として現世に蘇り、いじめられた同級生や親に復讐する話である。女子高生「こはる」は、霊感がある人だけに見えるアイドルとして活躍するというコメディホラーである。復讐の手段が多様だともっとよかったと思う。ホラー映画好きとしては非常に楽しめた。
『最前線物語』サミュエル・フラー監督作品
紛れも無い、傑作戦争映画だと思った。従軍経験者特有の生々しさがあった。上陸する際に銃口にコンドームを被せるだとか、地雷で仲間があっけなく死ぬとか、戦車の中での出産シーンで指にコンドームを着けて分娩するとか、ユダヤ人の戦争孤児の左手には認識ナンバーが彫られていたりとか。スピルバーグの「シンドラーのリスト」や「プライベート・ライアン」と比べると、サミュエル・フラーの独特さが際立つ。スピルバーグは従軍経験のない戦争オタクだ。サミュエル・フラーはジャーナリストだ。戦争のありのままを克明に描いたドキュメンタリーとも言える。スクリーンで観れてよかった。出産シーンは泣いた。リー・マーヴィンの男気にも泣けた。第二次世界大戦が終戦して4時間後にリー・マーヴィンが撃ってしまったドイツ兵を必死に助ける。「こいつは生きなければならないのだ」と。傑作だった。スクリーンで観れてよかった。
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