『森のカフェ』榎本憲男監督作
論文が書けない哲学者が近所の森で出会った女は
12/12より公開される『森のカフェ』の試写を観に行ってきた。
笑った笑った。日本ではちとめずらしい「ロマンチック・コメディ」というジャンルの映画である。ロマンチック・コメディは別名スクリューボール・コメディとも言い、ハワード・ホークスの『赤ちゃん教育』やエルンスト・ルビッチの『街角 桃色の店』やビリー・ワイルダーの『アパートの鍵貸します』などが代表的な作品である。榎本氏の分析では以下のような特徴があるらしい。
スクリューボール・コメディの特徴
1 登場人物たちの社会的地位はリッチ、もしくは超リッチ。(主として1930年代まで)
2 基本的に女性上位。女が男をコケにする。男は女に翻弄される。
3 登場人物は、風変わりでアクが強い。
4 テンポは速い。どんどん進む。ドタバタ喜劇風な場合もある。
5 粋でセクシーなマシンガントーク。
6 恋愛や結婚をテーマにする。人間に対するやさしさと悪意の混じった微妙な観察眼。
ロマンチック・コメディの肝はキャラクターの掛け合わせであり『森のカフェ』は「神経質でおとなしい男&こわれキャラの美女」という組み合わせである。どちらの役もたいへんな演技力の要求されるキャラクターである。管勇毅さんも若井久美子さんも複雑な役を見事にこなしている。抱腹絶倒である。
ユーモアとコーヒーの香り漂うちょっと哲学的なコメディ
恋愛映画やラブコメ映画は数多いが、日本ではほぼ作られていないロマンチック・コメディというジャンルに挑戦し、かつ「哲学」を扱うというチャレンジングな企画である。自主映画ならではの映画である。そう『森のカフェ』は全額榎本憲男監督が出資した自主映画なのである。監督主導の映画作りをするには、現在の邦画界では自主映画を作るしかないというのが榎本監督の持論である。映画制作にかかるコストも桁違いに安くなってきているから可能になった。榎本監督は映画業界では30年のキャリアをお持ちの大ベテランである。劇場支配人、プロデューサー、シナリオライター、映画監督とキャリアを積み重ねてきた。「哲学的な」テーマを内包した映画はいっぱいあるが「哲学」そのものを扱った映画はなかなか無い。というか皆無ではないか?
僕は榎本監督過去2作の『見えないほどの遠くの空を』と『何かが壁を越えてくる』を編集を担当させてもらっている。今回の『森のカフェ』では編集に加え制作業務も担当させて頂いた。じつに幸福な映画作りであった。今日初めて完成した映画を拝見したのだが、堂々たる仕上がりになっていて、スタッフ冥利につきる。皆様にもぜひご覧頂きたいです。
石川真吾編集参加映画「森のカフェ」12月12日公開です。抱腹絶倒のコメディです。ぜひ。
榎本憲男 脚本・監督
出演:管勇毅
若井久美子
橋本一郎
伊波麻央
永井秀樹 志賀廣太郎 東亜優 安藤紘平
撮影:川口晴彦(PHOTOGRAPHER HAL)
録音:小牧将人
編集:石川真吾
美術:松永真帆
音楽:安田芙充央
©Norio Enomoto
<公式ウェブサイト>
映画 「森のカフェ」 2015年12月上映決定!
<予告編>
12/12よりヒューマントラストシネマ渋谷にて公開!大阪はシネ・リーブル梅田にて。以後順次全国公開です。
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