不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part3 仲間集め編・完
前回はこちらで
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part1 仲間集め編 - FilmMaker Ishikawa Shingo
不安と眠気の 『Food 2.0』 48時間メイキング Part2 仲間集め編② - FilmMaker Ishikawa Shingo
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もっとも不安のタネが、シナリオであった。
脚本・宮本晴樹
宮本さんに4月の段階で声はかけていたのだが、返事が保留になっていて、正式に参加が決まったのは48時間映画祭が始まる数日前だった。自分ひとりでシナリオを書かずに済んで心底ホッとした。
宮本さんは、前回俳優として参加してくれた。
宮本さんは、歌を歌い、芝居をし、小説を書くプログラマーだ。ハイパーにアクティブな人間だ。
そして宮本さんは複数の生きづらさをかかえた人だ。
虐待、ADHD、性別違和、親との不和、派遣SEの構造的問題。余計なお世話だろうが「日本社会の残酷」を全部煮詰めたような人生を送ってらっしゃる。ような気がしてしまう。のに会うと明るく元気だからこっちも救われる。ぜひ、将来、オードリー・タンみたいな人になっていってほしい。
宮本さんが書くものは<百合>や<BL>だ。わたしが興味のあるジャンルではない。しかし、よくよく読むと「回復」の物語ばかりである。宮本さんは「過去の過ちや傷についての癒し」が自分のテーマだと仰っていた。わたしが求める「復活」の物語とも親和性がある。
そして師匠が共通なので共通言語が多くて話が早い。
宮本さんは、自分の中にあるマグマのようななにかを表現しないと死んでしまう。そんな人だと思う。だから宮本さんはツイ廃だ。複数のアカウントで、いつ寝てるの? いつ仕事してるの? な頻度で書き込みがある。いま転職活動中で暇があるらしく、そのエネルギーをちょっとだけ石川組に向けてもらおうと、誘った。
そして、宮本さんといると無条件に楽しいのだ。互いにオタク気質だからか、話題が豊富で、1振ると10返ってくる。とんでもなく頭の回転が速い。一緒にいるとこっちまで頭が良くなったような気がしてくるのだ(気のせいだけどね)。
そもそもシナリオを書く作業はしんどい。孤独だ。
シナリオは毎年毎年、不安なのだ。映画制作でいちばん重要なシナリオを、寝ずに10時間そこらで書きあげなければいけない。お題に答える大喜利力。ジャンルを成立させるための教養。エンターテインメントとしてまとめる構成力。映画としての骨格を整えつつ、7分という短尺で成立するシーンの構成。
根気、集中力、体力。
わたしはそのすべてを持ってない。
だから他人に頼る。
0を1にするのはたいっへんなエネルギーがいるのだ。
1を1.1にするのは比較的楽ちんなのだ。書いてもらったものを利用して自分の色に染めちゃう。なので、わたしはシナリオを直す。直しまくる。跡形もないくらい直す。ごめんね。でもあなたが書いてくれたシナリオが下書きになってくれたおかげで自由に飛躍できたんだよっ。
免出知之
ハイスピード&ハイテンション劇団「こちらスーパーうさぎ帝国」の名バイプレイヤーである。定塚さんが連れてきてくださった。前々から彼のファンだったのでとても嬉しい。とにかく顔がいい。どう使っても味が出そう。本人は至って真面目な人間だと思っているようだが、はたから見たら狂気の人である。そのギャップがいい。しかし、ヘタな使い方をすると劇団の演出家・白柳さんから嫌味を言われそうで不安だ。
アライジン
今回はじめて会いました。横須賀さん紹介で来てもらった俳優さんだが、作り手でもあって、48時間映画祭にすごく興味があったそうだ。榎本桜・牛丸亮、この2人とも関係が深いようだ。榎本桜氏・牛丸氏は公私ともにお世話になりっぱなしで、仲良くさせてもらってはいるが、それは今だけである。業界からいずれは抹殺しなければならないと強く思っている。あのクソ2人の息のかかった奴なら最大限警戒しないといかんな〜と思って接していたが、アライさん、めちゃめちゃいいやつだった。クソなのはわたしだ。ああ、不安だ。
作曲家・原夕輝
もはや大御所の域もある原さんだけど、今回も立候補して参加してくれた。ええんかな〜。ノーギャラですぜ? 20年近い作曲家としてのキャリアがある原さんだが、賞を一度も取ったことがないんだそうだ。わたしがてきとうに作った『ラジオスターの奇跡』の曲で音楽賞を取ったことを妬んでおり、会うたびにいびられる。関西人は怖いぜ。不安だ。とにかく今年は原さんに作曲賞を取ってもらいたい!!
録音・飯島花衣
ムサビの後輩である。大学をこの3月に卒業したばかり。フリーランスの録音部としてやっていきたいのだそうである。えらい。江口から録音部は探しておいてね〜、と言われたんで一番後輩を誘った。昨年10月に『自宅警備員のフェアリーテイル』という作品で8日間、函館で一緒に過ごした仲である。じつは特に仲良くはない。しかし、信頼している。ムサビの連中というのは総じておしゃべりで口だけのバカが多いのだが(代表格がわたしだ)、彼女は真面目に淡々と業務をこなす。わたしのつまらないギャグをスルーする力も高い。えらい。しかし、録音技師経験があるのかはよく分からない。聞くのも怖い。不安じゃ〜。
柳生はる奈
前回に引き続き立候補してくださった。彼女は星野源の大ファンで、ガッキー・星野源結婚ショックで死んでいる可能性がある。不安だ。
強力なチームが集まってくれた。しかし人が増えると楽しみも増えるが不安も積み重なっていく。そうしてキックオフを迎えた。 つづく。
ストーリー/行方不明になった父を探す女子高生。ようやくたどり着いた研究所で食べさせられたのは、世界を救うおにぎり。
出演/成海花音 横須賀一巧 免出知之 アライジン 柳生はる奈 美南宏樹 SHINYA 児玉アメリア彩
監督/石川真吾 脚本/宮本晴樹・石川真吾 撮影監督/ 江口裕祐 撮影助手/佐藤 遊・船場 幸平 録音/飯島花衣
美術/定塚由里香 編集/石川真吾 音楽/原 夕輝 8分/ホラー ©2021 STONE RIVER
This film was made for the 48 Hour Film Project.
www.48hourfilm.com
チーム名【STONE RIVER】
作品名『Food 2.0』
#48時間映画祭
#48HFP
#Food2・0
48hourfilm.com/tokyo/
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